第39話 眠りにつく前に
夜眠りにつく前に抹茶ちゃんから電話があった。
私はそれに出る。
「もしもし」
「私、魔法使えるようになっちゃった。ステファニーさん、魔法使いだったの?」
私はそれにクスリと笑い、
「そうよ、魔法使いよ」と言う。
「何か空間を移動出来たり、手のひらから炎が出たりするの、それも感覚的に」
「これであなたも私の一部よ」
「え、一部って?」
「機械仕掛けの神の」
「あなたが研究しているって言う、機械仕掛けの神の?」
「そう」
「なんだか怖いわ」
「怖がらなくていいのよ。あなたは私になるんだから」
「コワイコワイコワイコワイコワイ!!」
「今あなたに魔法をかけてあげるからね」
私はそう言うと、彼女に電話越しに魔法をかける。
「ワタシハミライカラキタ、オウジョナノニ」と言ってプツリと電話が切れる。
魔法をかけたので彼女は安心して今日は眠れるだろう。
こうして私は抹茶ちゃんを手に入れた。
これから先、彼女を操っていく。
感覚的に。
そう、全ては、
全ては、私の筋書き通り。
私の身体は眠りを必要としていた。
深い眠りを。
エアコンの冷房の温度を上げて、ベッドに入る。
さっき焚てたお香の匂いがした。
濃厚なジャスミンの匂い。
私の体内の花園の匂い。
その匂いを嗅ぎながら、私は自慰行為をした。
脳裏には宇宙があった。
その先に手をのばすように私は自分の秘部を手探る。
やがて私は達しないまま眠ってしまった。
翌朝目覚めると良く眠れたようでいつもより早起きが出来た。
私はシャワーを浴びに行く。
シャワーを浴びていると、私の中の機械も喜んでいるようであった。
水を浴びて喜ぶ機械。それは私の中に住んでいるから喜んでいられるのだ。
それは私の体内から外に出た時、水に当たったら呆気なく壊れてしまうだろう。
私は自分が殺されない限り、永遠を征服する。
神の裁きから私の裁きへと物事が落ち着くまで繰り返す。
何度でも繰り返す。
私は手に入れる。
私にとっての初恋を。
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