第27話 入れ替わる物語
家から日が暮れた夜の暗闇を眺めていると抹茶は氷が入ったグラスのアイスコーヒーを片手に僕へと話しかける。
「ねえ、こういう物語って知ってる?」
「なんだい?」それはね...
屋上にはごうごうと風が強く吹き付けている。風に舞う私の髪がバサバサと揺れる。日陰から日向に移り歩くと半袖の手の甲に陽が落ち暖かく握りしめる。
前へ歩いていくと陽は全身に眩しげに当たり漸く冷たいアイスコーヒーの上の氷が溶けるように気持ちよくなる。
ビルの屋上にいる私は涙の中心にいる機械仕掛けの神、或いは魔法のようだ。私はその化合物を吐き出すようにため息を吐いた。
黒いローファーの靴底が硬い床を踏みしめる。
どうやら一雨来そうだ。
私は外気に寒気を感じ屋内へと戻ることにした。屋上から室内へと続く金属のドアノブに手を触れると、途端に雨が降り始めた。
私は中へと入っていった。
屋上から室内へと入っていくと中には幽霊がいた。
幽霊は白くかすみ、体内にクッションの綿が含まれているようにふわふわと浮いている。
私はじっとそれを眺めとると、それに手を伸ばす。
それは機械仕掛けの幽霊だった。
中から歯車が私の指先に落ちてくる。
幽霊はニコリと笑うと、空間の透明へと消えていった。
私は立ちすくしていた。
私はそれをポツリと一人、見上げると胸元に落ちてきて染み渡る雨粒のように見送るとまた階段を下り始めた。
学校出る外は常闇の全身に微弱なランタンを付けたかのようにほんのり明るくそして暗かった。
パラパラパラと雨が落ちる音がする。私は髪を耳の後ろにかき上げると、耳にひんやり湿度がのしかかった。首元に空いた服の隙間から背筋へとするりと風が冴え渡る。
私は傘を持ってきていないので近くのコンビニで買うことにして小走りに目的地へと向かって駆け抜けた。
黒色の鞄を頭の上に掲げ、雨よけにする。手首に付けてある時計は防水仕様なので壊れないだろうと高をくくり、のしのしと雨の中進んでいく。
靴下がじんわりと湿って、足首が軽くなる、硝子の靴を履いたシンデレラのように、とまでとはいかないけれど。
コンビニに着くとベルの音がして私の入店を知らせた。コンビニはむわむわとし、エアコンが強くは利いていないようであった。私は傘を探すと店内入り口の左側に何本もささって置かれてあった。私はそれを一本取り、何か他に買うものを考える。
久しぶりに小説を書いてみることを考えた。
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