第14話 メイドになった王女

 僕は家に帰ると玄関に抹茶が正座したいた。

「おかえりなさいませ、ご主人様」

「ああ、ただいま。君のご主人様ではないけどね、王女様」

「この時代では主人が帰ってきた時はこの言葉を発言するのがマナーではないの?」

「いいや、違うよ」

「あら、そう。私の母さんはこの時代のアニメが好きでよく見てたから私も一緒に見てたの。あの時は楽しかったわ」

 抹茶は遠い過去を思うように切ない笑顔になった。

「僕もアニメは見るけど、それはメイドさんが言う言葉なんだ。それにメイドさんはお金持ち家にしかいなよ」

「そうそう、それで黄金を換金してきたんだけど、一千万円手に入れたわ」

「そんな大金直ぐに手に入れられるとは・・・未来の科学力は大したものだ」

「科学と交じ合った魔法だけどね」

「なるほど」


「それで今日の夕食なんだけど、この時代の一番美味しいものが食べたいわ」

「そうだね、君は王女なんだから美味しいものでもてなさないと。でも君がお金を出してね」

 僕はそう言って玄関から家の中に靴を脱いで上がり教師の格好をした服装から普段着へと着替えた。


 抹茶はコップでコカ・コーラを飲んでそばに座っていた。

「で、どこに行く?」抹茶がそう言う。

「中華料理でも食べに行くか、この時代で一番美味しいものは僕は知らないが、中華料理が食べたいんだ」

「わかったわ、中華ね、辛いやつよね?」

「そうだよ、あと一つ、無駄な殺生はしないでほしい」

「あれは必要にかられてやったのよ」


「もう殺しはしてほしくないが、やらざるを得ないのかい?」

「敵の最高位の魔法使いがいるって言ったじゃない?」

「うん」

「そいつの体内にもある機械の心臓部が埋め込まれているの」

「君と同じように、ということか」

「私とは違うのはその機械がウィルスを蔓延させる、つまり私が罹っているウィルスの心臓部なの。それを破壊すればウィルスは消滅する」

「そうだったのか、つまり君と敵対するやつらは人類滅亡を目論んでいたのか」

「そういうこと~」抹茶は軽い声でそう言った。


「じゃあ、出掛けるか」僕はそう言って玄関から出て扉に鍵をかけて街へと繰り出した。


 抹茶が軽く手を握ってきた。



 中華料理屋に着くと店内は混み合っていて、腐野抹茶という人物はその美貌から注目の的になった。

 そしてその手を繋いでいる僕へと目線が移る。


 店員がやってきて席へと案内してくれるが、僕らに集まった視線は離れなかった。


「なんか目線が集まってるから別の静かな場所にするかい?」僕は小声で抹茶に聞く。

「あなたが気になるんだったらそれでもいいけど、今日は中華料理が食べたかったんでしょ?」

「そうだけど・・・こんな注目が集まっていたら落ち着いて食事が出来ないよ」

「小心者なのね」


 僕は席に座り込んでいるものの、縮みこまってしまった。

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