第4話 赤いフェラーリ
空には飛行機雲が浮かんでいた。
横目で抹茶を見ると彼女はそれを眺めているようであった。
「とりあえず、森から出よう」僕はそう言った。
「そうね、ここの森って結構広いの?」
「そんなに広くはないはずだ。直ぐに出られると思う」僕は立ち上がると、抹茶も黄土色した地面から立ち上がった。
「それじゃ行きましょうか、方向分かる?」
僕は辺りを見回し「やれやれ木々で生い茂っていてわからないや。適当に歩いていけばやがて出られるだろう」
「あなたテキトーね」そして僕らは歩き始めた。
十五分ばかり歩いていると神社のような建物が見えた。
「不思議ね、森の中に神社」抹茶が唇を尖らせてそう言った。
「ああ、ここの森は神々が住む森だと呼ばれていてここには神社があるんだ」
「なんという名前の神社なの?」
「未来神社、君とは縁があるみたいだね」
「未来の神社というと、拝めば先を見通せるようになるとか?」
「そんなご利益はないけど未来にも神々がいますようにという祈りがこの場所には含まれているんだ」
「へぇー、私の住む世界には神々や神社はなかったわねそう言えば」
「なんでいなくなったんだい?」
「あまり未来のことを知らなくてもいいのよ、あなたわ」そう言うと抹茶は僕の左手を軽く握りしめた(手を繋いだ格好だ)。
「ここまで来れば後は神社を出るだけで街に出られる」
「そう、ちょっとお参りしてきて良い?」
「構わないよ」僕はそう言うと抹茶は少し早歩きで先に行き僕と共に神社の石畳を踏んでいく。
賽銭箱があったが僕は財布を忘れていたことを思い出し、そう話そうと彼女を向いた。
抹茶は賽銭箱を見ていないで神社の奥の方の部屋を覗いていた。
「なんだか神秘的だわ。安産願いでもしましょうか」
「いやいや今日は財布を忘れてしまったし、それに君と子作りするつもりはないよ」
「あら、今私の裸を思い出してムラムラしてるでしょ?人気もいないしここでしても良いのよ?」抹茶はそう言った。
僕は盛大にため息をつくと抹茶の手を離した。
「君は誘惑しすぎ」
「惑溺しちゃう?」
「本能的に言えばそうだが、僕には理性がある」
「私にはそれに追加して魔力もあるのよ?どちらが強いか解る?」
「わかったよ、君ほうが強い」僕はそう言い、抹茶は胸を張った。
体操服の下にはブラを付けていないせいか服の上からピンク色の乳首が透けて見えた。
「あら、私のおっぱい見てるの?もっと見てもいいのよ」抹茶はそう言うと服の上から両胸を手のひらで鷲掴み強調させてみせた。
「ねえ、君、スケベなのは良いんだけど(いいや良くない)心臓に悪いからやめてくれないか?」そう言いつつも僕は彼女の胸をずっと見ていた。
お椀型だったそれは手のひらで圧迫され満月が水面に浮かび歪んだ瞬間のようにピリピリとしていた。
ピンク色の乳首が上に着ている体操着とこすれて反応したせいか紅みがかって膨張してきた。
「ま、冗談よ。流石に私は痴女じゃないし。でもあなたに好きなプレイしてあげるって言った手前、無理しちゃった」と抹茶は言ってピンク色の舌をペロッと出した。
「君はとてもエロい女の子だよ。ガソリン満タンに入れた赤色のフェラーリのように」
「それってなんだか危うげね。私はもっとしっかりしたお子さんよ。スペースパイロットのように」
「ああ、どっちでもいいよ!」僕は頭をかきむしると神社の出口に向かった。
「あ、待ってよ!」抹茶が追いかけてくる声が聞こえた。
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