第2話 末永く

「それともあなた私じゃ不満だって言うの!?」彼女は全裸のまま僕に堂々と指を差しそう言う。「あなた勃起してるでしょ!?体は正直なんだから!!」

 思わず僕は赤面するとそれとなくズボンのポケットに手を伸ばし、そこから自分の股間を確かめた。確かにそれは固くなっていた。体が挙動不審になる。

「そりゃ、当然ね私は世にまれに見る美少女なんですもの!私の夫になれて光栄に思いなさい!」その通りだった(私の夫になれてはそうではないが)僕はこの高校の生徒の全員を把握しているわけではないが、僕の知っている限りではこれほどの美しい少女はこの学校にはいなかった。むしろ人生で初めて見た美少女だった。

 髪の毛は黒色で青みがかかり艶やかな濡鴉で、唇はそこだけ色を付けたように鮮やかなピンク色、鼻はすっと通っていて理知的で、目元はまつげが長く何より瞳が全宇宙を秘めていた。

「私の裸を見て勃たないやつはいないわ!光栄に思いなさい!これから先も永遠にあなただけが見ることの出来る私の肉体美を!!」そう言って彼女は僕に差していた指先を下ろした。

「僕の夫になるって・・・君いくつだい?」僕はそう問う。

「十七歳よ!」

「僕はいくつだと思う?」

「う~ん、そうね」そう言って彼女は唇を真っ直ぐにして考え始める。「二十四くらい?」

「二十五だよ・・・そんな歳の人間が十七歳の女の子と結婚して良いと思ってる?」

「もちろん」

「ダーメ!僕の体が君の裸体に反応しててもそれは駄目だから!」

「じゃあ、あたしに死ねって言うわけ?お願い後生だから・・・」彼女は突然瞳を潤ませると猫なで声でそう言う。「エッチも好きなプレイするし♫」

 僕はその発言に顔が赤くなると「あ、また固くなったでしょ!」と彼女は言った。

 その時だった化学室の扉がガラガラと開き先程のおかっぱの生徒が中に入ってきた。

 そしてこう言う「あの、先生固くなるってどういうことですか?」おかっぱの生徒は思いっきり僕の股間を睨みつけていた。

「そう先生の股間を睨みつけるものではないよ、君」と思わず僕は言ってしまった。

「セクハラ・・・」彼女はそう小さく呟き、「ここに私の体操服置いとくので着といて下さい」と言い残し出ていった。

「あら、あの女の子気が利くわね。私の着る物を持ってきたくれたのね。それじゃ着るわね」と言って何か言いたげな視線を僕に送り「それともこのままでいて欲しい?」と床に置いてある体操服に手を付けながら言った。

「いや着替えてくれ、頼む」と僕は両手で拝んだ。

「ひとつ貸しだから」裸の乙女はそう言うと着替えを始めた。

「何が貸しなんだい!!」

「それは私が裸から服を着ることの貸しよー」彼女は服を手早く着替えてしまうとそう言う。

「あー、タバコ吸いたい」僕はそう言うと彼女はびっくりした顔になった。

「あなた、タバコ吸うの?やだー時代遅れー未来ではみんな電子タバコを吸っているのよ。あなたもそれにチェンジしなさい」

「あのねーここは未来じゃないんだよ」

「この世界にも電子タバコはあるはずよ?確かVape(ヴェイプ)っていう。買ってあげようか」

「分かったよネットで調べて今度買うから、今は直ぐに吸えるタバコが吸いたいんだ!ちょっと喫煙所行ってくる!」僕はそう言って化学室を出た。喫煙所に行けば誰かしらタバコを吸っている人がいると祈りながら。

 スタスタと歩いていると後ろから体操服姿の彼女が着いてきた。

「ねー、喫煙所何処にあるの?」

「二階にある!」僕は意気揚々と先を進む。

「そういえば、あなた名前は?」

「僕かい?君島楽譜(きみしまがくふ)だ」

「そうなんだー。私は腐野抹茶(くさりのまっちゃ)よろしくねー」

「よろしく!」

「末永く」

「ならないよ!」しかしながら僕と彼女は思ったよりも長く一緒にいることになった。途方もなく。

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