第3話 癌患者の瞑想法
果たして、芸術の役割とは?何の価値もない壁の落書きや塗りたくられた絵の具。
貧乏人が書く皮肉な詩や、思春期のガキによる倒錯的なエロスとタナトスを模倣した猥雑なボールペン画。睡眠薬を常用する母親がひねり出した金で学ぶ美術史や、訳知り顔でオタク達と愛でるギーガーのエイリアンとか?共感と感動を促すいやに美しい夕暮れと未成熟な少女の肢体。雨の中での悲痛な別れ?哲学を交えて論ずるアニメやオマージュを血眼で検索して語る映画か?独りさみしィ暮らしに口論の相手もいなけりゃ人生は長過ぎるし、人ってのは怒りに震えることが一番、協調性w?を持つことができる。 しかしオーケイ 全肯定だ。そして死ね。クソ野郎。
すなわち芸術の役割とは不毛であることだ。さながら人の営みの如くに。
不毛な行いが、さも人の心を癒やしたり、感動したり、有益に演出されることで人は自分の愚かさを顧みず、労働力を生み出すために生殖したり、非生産的生産行為=労働に従事できる、言い方をかえれば覚醒剤で弛緩剤で聖水で焚き木だ。
お前たちは一定の金持ちの生活の維持の為に生まれてきたことを認め受け入れろ。
そしてせめてもの慰めとして与えられたちっぽけな自由?wの中で品定めをして考えろ、どこでもどんなものにも。オレたちに価値がないようにこの世のものにも等しく価値はない。魂にくべる焚き木を選べ。どうせ灰しか残らない。
この焚火に群がる
本当に知性があるやつがとびきり下らない題材(社会問題や最近だとジェンダー論、変わったところでは仮名遣いなど)についてこれまた下らない見解を示したりしている。本当にしょうもない社会構造だが実は、現実の国際政治の場においても声がデカければ大統領くらいにはなれるらしい。
本来の目的を忘れて突っ走るのは、人類史をみてもよくあることだが僕は忘れてはいない。忘れじのあの子を見つける道先案内人にあいにきたのだ。
そいつは名前をスルドクといい、見た目は半分は猫、半分は羊という変なヤツだ。
挨拶をするとカフカの短編『夜に』を朗読する習性がある。
彼?彼女?は時折、仮想壁にクローブタバコの吸い殻と自慰で使ったティッシュを苗床にして育てた不思議キノコについての詳細な生態と絵図を書いていた。
スルドクは僕に優しくしてくれる。過激主義の多い界隈では会話が成り立つのは珍しい。本当に成り立ってるかは分からないが、実社会よりは道理は通る場所だ。
スルドクの言うことには、SHEはこの
それだけわかれば十分だ、少なくとも進路指導主任よりは役立つアドバイスをくれた。SHEは僕にとってナチスの隕石仏像ほど馬鹿げていて尊いモノなんだ。
君が待つシャングリラへ。絶望の少しこちら側へ、僕は踊り狂う。
遠く蒙昧の都、虚妄の営み、エントロピーの終いにて。勝利のギプノ〜ザ。
さよならの挨拶にまたしてもスルドクは朗読した。『夜に』。
誤解を恐れずに言えば不毛の大地にこそ、繰り返される西遊記のリメイクがいずれ結実する。旅の目的は辿り着くことでは無く旅することである。
世界初の時間旅行者にはバンクシーを推薦する。
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