ベルゼブブの過去

ふぅ今日でベルゼブブとも鍛錬終わりだな、世話になったよ」


「まさか1年で俺のメニューをなんなくこなせて槍術や格闘術までマスターするとはな」(女神族ってこんなに強いものなんだな、となると女神1人1人がこんな強さと考えたら魔界に攻めいられたらまずいな)


「ベルゼブブの教え方が良いからだよ」


この1年何があったかって?そんなもの思い出したくもないね、あの次の日から毎朝朝7時から火山に篭って筋トレしたり武術指導受けたりベルゼブブに半殺しにさせられながら闘ったり、しかも時間が無いからって手首、足首、肘、膝に重りを付けてみたり、最初は10キロ段々重くなって最後は100キロの重りを付けていた。お陰様で重りを外すと翼も魔法も無いのに10メートルぐらい飛べる。筋力も馬鹿みたいに付いた。


拝啓じいちゃんへ

元気にしていますか。俺はベルゼブブという鬼教官との修行がようやっと終わりました。ですがそのお陰でルシファー達に大きく近づけました。来るべき日に向け1人でも多くの人を救うために俺は少しでも強くなって守って見せます。

ジルより


と心の中でジルは呟いた


「見ててくれよなじいちゃん、俺の生き様を」


「お前の爺さんとやらもびっくりだろうな、まさか孫が女神族で魔人族と共に過ごしているなんてな」


「あぁだろうね、俺もこうなるとは思わなかったもの」


「人生何が有るか分からんな、俺も昔はこんな事になるとは思わなかったな」


「ベルゼブブって魔界に来る前は何してたの?メデューサとサキュバスはそれなりに知ってるけどベルゼブブは聞いたことが無かったからさ」


「あれ、お前には言ってなかったか。俺はな見ての通り獣人族の狼種だ」


「それはいつぞやルシファーから聞いたね」


「あぁ、獣人族にはな、とある掟があった、そもそも獣人族の定義はなんだ?と聞かれると曖昧にはなってしまうが獣人族の住むエリアがあってそこには人間も妖精も小人も巨人も侵入してこない盟約が太古に結ばれているためそこのエリアの中に住むものを基本的には獣人族と呼ばれている。」


「なるほどね、それでも色々めんどくさそうだね」


「あぁそれで掟と言うのがな、100年に1度種の間で戦をしそこで勝ち残った種族の代表者が王になるというものだ」


「えっ?でもそれって同じ獣人族で殺し合いをして王様を決めるってことでしょ?それじゃ獣人族減りまくるじゃん」


「あぁその通りだ。獣人族は種類にもよるが寿命が大体2000年から3000年有る、故にこんな馬鹿げた事をしなければ恐らく女神族や魔人族にも負けぬ強い国を作れる筈なのだ」


「昔じいちゃんの書斎の書物で読んだことはあった気がするな。獣人族は人間よりも圧倒的な力を持っているが数が少ない」


「あぁその通りだ。寿命が2000年と言ってもその殺し合いで大体の人間が死に天命を全うするのは全体の0.01%程だ」


「それだけハイペースで総力戦をやっていたらそうなるね」


「あぁ、そこでだ俺はこの戦ごとを無くしたいと考えていた。」


「ベルゼブブなら何となく考えそうだね。見た目に寄らず結構優しいし」


「おいこら見た目に寄らずとはなんだこら。いくら狼の顔してムキムキだからってな優しさは持ってんだよ。人を見た目で判断するな!」


「冗談冗談続けて」(意外とコンプレックスなんだな、まぁ次からかうと俺の右腕が吹っ飛びそうだからやめとこ)


「あぁ無くす為にはな一旦その王の座を得ることが必要だった。そして俺はそのために当時種長だった親父からその席を譲り受け狼種を徹底的に強くした。この時皆には譲り受けた理由をしっかり説明し皆獣人族の光だと言い賛同してくれた。次の戦ごとに勝ち王の座を得た」


「そこまでは上手くいってたんだ」


「ご名答。そして俺は徹底的に色々変えまくった。まず各種族の縄張りを決め今まで王決めの対戦意外で多発していた小競り合いを完全に無くしたり色々やった」


「やるな」(意外と政治力あるのね)


「だろぉ そんでだ俺が王についてから80年ほど経った時にな俺は王決めの戦廃止し王の座は各種族の長が5年ごとに交代し王でない種長達はお目付け役見たいな役割で政治に携わる制度に変えると発表した。したらどうなったと思う?」


「当然実力no2no3の種族から反対が出るわな」


「あぁその通りだ。だがそこまでは予想の範囲だった。1つ予想外の事が起きた」


「予想外の事?」


「あぁ、あろう事か同じ狼種の者らもそれに反対したのだ」


「えっ!?だってみんな戦を無くしたくてベルゼブブについて行ったんでしょ?」


「あぁ、そのはずだった、いやそうなるはずだった。だが恐らく王の種族になって甘い汁を吸いすぎたんだろうな。獣人族にはうさぎ種や、羊種のように弱い種族も居てな、そう言う種族は大戦の時には戦はないだ。だが当然権力者は怖いゆえに良く贈り物をするのだ、だが俺はこれを全面的に禁じた。俺の中では獣人族に上も下もなかったからな。だけど恐らくは俺の目の届かぬところで贈り物があったのであろうな」


「人は1度いい思いをするとそれに慣れちまうからね、それが無くなるのが嫌だったんだね」


「これは俺の管理責任でもあったがな。んでその結果俺は全種族を敵に回し獣人界を追放された。」


「これに歯向かわなかったのはベルゼブブらしいね」


「あぁ俺に味方は居なかった。故に刃向かっても無駄に命を奪ってしまうだけだからな、俺はさっと身を引いたぜ」


「潔いというかベルゼブブは最後まで獣人族の事を考えていたんだね。」


「なぁに所詮は負け犬の遠吠えよ。それでそんなふうにしていてなんやかんやあり弱ってるところを人間に捕まり呪いをかけられ反抗できなくされ奴隷のような扱いを受けている時にサタン様に拾われたのよ。」


「そんな過去があったんだね」


「そうよ、だからお前の顔を見た時にびっくりしたわ、俺の恩人が現れたってな」


ジルは笑いながら言った


「他人の空似だよ」


「それもそうだな」(いやお前からは何処か懐かしい匂いがする、やはりマモンやルシファーが言ってた通りなのかもな)


「さぁて城に帰ろうか、今日はサキュバスが俺の免許皆伝祝いだーってはしゃいでたから多分凄いことになってるでしょ」


「だな。どーれ城までひとっ走りするか」


「はいよ」(いやここから何キロあると思ってんだよ。まぁこの1年で大分慣れたわ)


━━━━━━━━━━━━━━


2人は1時間ほど全速で走り城へと付いた。


「もう前みたいにこれぐらいじゃへばらんか」


「ったりめぇだ。お前との修行が厳しすぎたんだよ」


ベルゼブブは大きく口を開け笑いながら言った。


「かっかっか、小さいことは気にするな」


「何がちっさい事かて」(まぁお前のお陰で大分強くなれたよ、あと2年か長いようで短そうだな)


2人がそんな話をしていると城から人が出てきた。


どうやらサキュバスのようだ


「ったくあんた達は最後までそんなオーバーワークしてる訳?仕方が無いわね。まぁいいわ1時間後に宴会を始めるからそれまでにお風呂入ったり色々しときなさい」


「了解サキュバス、取り敢えず俺をこの筋肉バカと一緒にしないでくれ」


「筋肉バカとはなんだ筋肉バカとは」


「あながち間違いじゃないわね」


3人は笑いながらそのような会話をし城へ入っていった

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