第2話 友達

二週間経ち、今日から高校生だ。

当然、義母さんの言った通り女の子として。

ボクと翔は一緒の学校にギリギリで受かった。

けど、あーちゃんからは連絡も無くどうやら北海道の女学院へ入学したらしい。

(あーちゃん、元気にしてるかな)

「俺は三組だな」

玄関の掲示板に貼ってある新一年のクラス表を見る。

「ボクは一組。はぁ、いつもなら三人一緒なのに」

「あ、ああ、そうだな。仕方ねぇさ、こんな時もあるって」

「うぅ」

「よしよし」

翔がボクの頭を優しく撫でる。

「ふぁっ、子供扱いするなぁっ!」

ポカポカッと翔を叩く。

「わ、悪かった」

「む〜っ」

「そんな不細工な変顔してたら可愛い顔が台無しだぞ、シロ」

「う、うるさいっ!翔のバカっ!」

一組の前で別れ、それぞれ教室に入る。

「「「か、可愛いっ!」」」

一組にいた人が全員ボクの方を見ている。

(み、見たらダメ。見たらあがるから)

そう、ボクは昔から極度のあがり症で人を見ただけでフリーズし、悪ければ気絶してしまう。

「おーい、お前ら座れ。自己紹介始めんぞ」

「「はーい」」

「じゃあまず、私は担任の浅葱香奈美だ。よろしくな。さて、出席番号順でいこうか」

「俺は糸崎浩二。好きなもんはまぁ野球だ、よろしく」

「私は鵜川美鈴。よっろしっく〜」

淡々と自己紹介が進み、ついにボクの番が回ってきた。

「次はそこの仔猫」

「?」

「あからさまに自分じゃないですみたいな顔するな」

「あ、はいっていうかボクは仔猫じゃないですっ!」

「早くしろー」

「えっと、、その、はぅ、、あぅ」

自分でもわかるほど顔が熱くなってきた。

「やだぁ、恥ずかしがってるあの娘可愛いっ!」

「ぼ、ボクは涼宮眞白です。よ、よろしくお願いします」

「ボクっ娘なんて可愛いッ!!」

「あぅ」

「俺っちは須田昭隆、好きなものはR18系だな。よろ」

「「須田くん、最低っ!」」

一斉に女子達に教科書を投げつけられている。

「私は高城|芽亜李(めあり)だ。よろしく」

自己紹介が終わり、次は委員会と係決めだ。

「委員長と副委員長は通年な。さて、誰がする?」

「委員長は涼宮さんなんてどうですか?」

「ふぇっ?」

「なら俺もやるっ」

「じゃあ私もっ!」

なぜかみんなが手を挙げた。

「全員でじゃんけんね〜」

後ろで男女関係なくみんなが盛り上がってじゃんけんをしている。

「私の勝ちだぁっ!」

鵜川さんがバンザーイと喜んでいる。

一応係と委員が決まり先生の話も終わって短縮の為、昼までだ。

「ねぇ、涼宮さん、私と友達になろうよ」

帰る準備をしてると鵜川さんが抱きしめてきた。

「え?ぅあ、、」

「貴様はもう少し普通に接することはできんのか」

「可愛い娘は見てたら興奮しちゃうもん」

「場をわきまえろっていうか涼宮が嫌がってるだろうっ!」

「友達、、いいよ」

「やったぁっ!じゃあさ私まっしーって呼ぶからまっしーは美鈴って呼んでねっ」

離れたと思ったらまた抱きつく。

「貴様というやつは、、」

「おい、シロ〜?」

「あっ、翔だぁっ」

「やっと友達出来たんだな、シロ」

「うぐ、中学でも友達いたもんっ!」

「いやいや、あれはむしろお前人形化してたろ」

「人形化?まぁいいや、君ってまっしーの彼氏?」

「「ち、違うっ!」」

僕と翔が同時に否定する。

「恋人並みの仲の良さだったからてっきりそうだと思ったんだけど」

「「ただの幼馴染みっ!」」

またもやハモってしまった。

「やっぱ付き合って、、」

「「付き合ってないっ!!」」

「でもなんで?幼馴染みくんイケメンじゃん。可愛い美少女とイケメンお似合いだよ」

「ぼ、ボクは可愛くないし美少女じゃないっ!」

「可愛いよ。惚れてしまうくらいにな」

イケメン風に美鈴が顎クイしてきた。

「いい加減にしろっ。眞白さんが泣きそうだ」

「な、泣いてないよっ!」

「えっと、シロのクラスメイトでいいんだっけ?」

「さりげなくスルーされた。ま、いいけどこっちのカッコいい人は高城芽亜李さんでこっちの変態さんは鵜川美鈴さん」

「あれ、わたしだけ変態さんって酷くない?」

「ふん、からかう人なんて知りませんっ」

そっぽ向く。

「ええー」

「ふ、貴様の自業自得だ」

「あらあら、おねぇちゃんの前でラブラブするなんておねぇちゃん悲しいよ」

背後からいきなり誰かに抱きつかれた。

「ね、姉さんなんでいるの?」

「言ってなかった?私この学校に編入したのよ。前の学校でいろいろあったから。一年で会長になれたしね」

「生徒会長なの?」

「?入学式挨拶したんだけど」

「でもボクは貧血で参加してないや」

「二人は知り合いなんですか?会長」

「私たちきょ、、」

「ていやーっ」

姉さんの腕を引っ張り、階段下へ走る。

「なによ」

「義母さんから何か聞いてない?」

「んー、なにも」

「はぁ、実はね、、、」

三週間前の話をした。

「へぇー、だから、女子の制服着てたんだ」

「今更だよ」

「だって違和感ないし、、ってことはっ!」

「んぁっ、〜〜っ!」

姉さんがボクの胸を揉んできた。

「ちっちゃいけど良いっ!」

「お、お姉ちゃんっ!」

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