006
前期の期末に入り、テストやらレポートやらが続くけれど、特に時間をかけるでもなく大体がつつがなく終わって、どちらかというと時間を持て余していた。そういうタイミングだった。
僕が所属しているのは文芸サークルで、こういう時期の節目節目に部誌という、部員の作品がまとめられた冊子をつくって刊行する。普段は集まって飲み食いして喋っているだけなのだけれど、こういうときはみんなそれぞれなりに真面目に活動するのだ。部活のルールとして、執筆者に対して編集者がつくことになっている。執筆者が締め切りまでに作品を提出できないと編集者が怒られたりと、基本的には編集者に損なシステムだ。けれども作品を添削したりアイデアを出し合ったりして作品を作っていったり、先輩部員が新入生の面倒を見つつサークル活動に馴染めるよう尽力したり、逆に文章を書くのが上手な人の編集について作品制作の過程を見て勉強したりする、という目的のもとそういう風になっているらしい。
そして僕も執筆側か編集側か、あるいは両方か、取り決めのときにそれを決めなければならなくなった。時間も余っていたし、僕はいつものように周りに望まれるがままに編集側でまず役職を得た。ペアになった執筆側の女の子を、仮にAとする。
Aは僕と同期で、僕が二人に別れてからは特に機会を得られずそこまで多く話す方ではなかったけれど、決して仲が悪いというわけではなかった。Aと僕はよろしくと挨拶し合って、しばらく他愛もない話をした。
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