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 サークルの人達には、僕を見るなり親切にしてくれる人も居れば、表向きは良くしてくれているが心底興味がなさそうな人も居た。元気? とか、最近どうしてた? という有り触れた質問に、変な冗談を返すとそれが思ったよりウケて、たくさん笑いが起きた。「そんなに面白いキャラだったっけ?」と言われて、僕の脳裏に暗い部屋でずっと布団にうずくまってるもう一人の僕の姿がちらついた。僕は「違ったかなぁ」とおどけて返した。


 サークルでの僕は非常に良く振る舞えていたと思う。僕は曖昧模糊として印象すら定めることができなかったサークルのメンバーたちとあっという間に仲良くなった。僕は彼らが求めるリアクションをすぐに察知して的確に返すことができたし、その度に彼らは笑い満足そうにした。僕は毎週きちんとサークルの活動に参加するようになった。

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