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 僕が二人になってからというものの、僕の方は非常に順調な生活を送っていた。朝起きて大学に行き授業を受けて帰る、ただそれだけのことだけれども、何一つ困らなかった。授業の内容はすぐに理解できた上に、ほとんど忘れることもなかったのでテストはいつも良い点数がとれた。授業を受けている生徒で班を作って研究、発表をしなくてはならないときも、いつも自分の班が最も早く準備を終わらせて発表も一番高い評価をもらった。


 ひと月もしないうちに大学に行って帰るだけの日に味気なさを感じて、僕は大学の生協で求人情報をまとめた冊子を借りてアルバイトを探した。ほどなく自宅と大学の間にある居酒屋が立地と給料が良いと気付き、すぐに応募した。履歴書も要らず簡単な面接で採用となり、すぐにでもと言われて僕は次の日から居酒屋で働き始めた。


 

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