住吉 良平 24
午後3時になった。
テレビは持ってないので、SNSを周ってみる。
コロッセオ関係で情報を載せているところを見ると、どうやら記者会見をしているらしい。
動画サイトでリアルタイム配信を行っているところを探してアクセスする。
同時視聴人数から相当注目されているのが分かった。
カメラのフラッシュが大量に炊かれている。
三人の男が並んで座っているのが画面に映っている。
左右二人は40代か50代でいかにもエリートという雰囲気がある。
真ん中の男だけ30代、下手したら20代だろう。
短髪で無精髭を生やしている。
髭で多少老けて見えるんだろうか。
ただ、若くても左右の男と同じで緊張した様子はない。
目配せして全員で礼をする。
真ん中の男が話し出した。
「この度、命がけの戦い…、既にネットなどで皆さん話題にしておられる、通称コロッセオと呼ばれている格闘技について、正式に、開催運営する会社を立ち上げました。」
会場がどよめいている。
「公明正大なスポーツとして行いますので、所謂違法ではございません。」
”前回の時は死者が出てしまいましたがそのままなんですか?”
真ん中の男が頷く。
「当然です。
出場者には全て了解を得るという条件で行います。
過去にも怪我、生死を問わない格闘技というものはありました。
今回も同じ条件という事です。」
男が記者を見渡す。
「今、人々が求めているのは究極の過激であり暴力です。
エンターテインメントとしてお届けすることを社是とします。」
”暴力団が開催していたとお聞きしているのですが?”
「事実です。
しかし、私たちはあの会場に居ました。
そしてその熱気を感じ取ったのです。
時代は今この過激さを求めていると。
暴力団は事実上トップが逮捕され現在バラバラになっていると聞いています。
全く関係ない企業として立ち上げております。」
誰も質問しないが逮捕と会社立ち上げのタイミングが早すぎないか?
言えない部分でやり取りがあったんだろうな。
まぁ出場の保証をしてくれるなら自分はなんでもいいが。
開催されることが保証されたことで安心して眠気が出てきた。
明日はまた行くんだ、今日は休もう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます