住吉 良平 18

 竜馬が劉一の肩を叩く。

「変なブザーが鳴ったら試合開始だから、鳴ったらすぐに中央に置いてある武器取りに行け。死にたくないんだろ?」

確かに試合会場の真ん中のコンクリートの床の上に金属バットやパイプ椅子、フライパンなどが無造作に置かれている。

「攻撃するにも防ぐにもとりあえず武器ある方が有利だからな。」

劉一が頷く。

「向こうもそう考えて真っ先に武器を取りに行くだろうから、先に取られてもいいから相手の攻撃は絶対武器で防げよ。

直撃受けると良くて骨折だからな。」

相手側を見ると同じように付き添いの人に何かを話しかけられている。

頷いているのが分かる。

竜馬が話したアドバイスと同じ内容を聞いているのかもしれなお。

「スーツに何かあったら無線ですぐに伝えるから。

あと昼に話したけど、機能不全箇所なんかはバイザーに表示されるデータを見てね。」

百合子が歓声に負けないように大声で話す。

劉一を見ると体が小刻みに震えている。

緊張しているのが見ていてわかる。

相手は…

首を回したり体をひねってストレッチしている。

少なくとも劉一ほど緊張していないようだ。

向こうも借金で仕方なく出場することになった人なんだろうか。

仕草を見るだけでは劉一のように仕方なくやらされているような雰囲気はない。

観客にガッツポーズまでしている。

これは劉一はやばいかもしれない。

アナウンスが始まる。

”皆さん!「コロッセオ」にお集り頂きありがとうございます!

本日命を賭けて戦い大金を手にして帰るのはどちらでしょうか!?”

”うおおおおおおおぉぉ!!”

会場が一際大きく振動する。

”出場者をグラディエーターとでも呼びましょうか!?

着ているパワードスーツは特別な改造が施され、殴るだけでおよそ8トンもの衝撃が発生します!

蹴りでは13トンの威力です!

一撃まともに受ければ即死です!

中央に置かれている道具は何を使ってもOK!

さぁ!命知らず共の戦いをお楽しみ下さい!

間もなく開始のブザーが鳴ります!”

隆一が竜馬に背中を押され一歩前に出た。

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