住吉 良平 11
ドアが開いて竜馬と中国人が入ってきた。
「精が出ることだねぇ。手伝っても報酬出せないし口外出来ない事なのに。」
呆れた顔で椅子を引っ張りドカッと座る。
竜馬が目配せすると中国人がヨタヨタとこちらへ歩いてきた。
悲壮な表情をしている。
「スーツ着て調整しナきゃ。お願いしマス。仕方ない。」
ため息をついてパワードスーツを着始める。
良平は黙って後ろに下がった。
意識せず丁度竜馬の隣に来てしまう。
「ほんとに死ぬのありなんですよね?」
竜馬の方を見ずに尋ねてみる。
今中国人が色々と体を動かし百合子が色々なデータ検証をしているようだ。
「関わると危ないってわかんだろ?」
竜馬も中国人の動きを見つめている。
「今日はもう仕事行けない時間だからさ。明日からはここの事は忘れて普通に生きてけよ。
あ、開催するときは嫌でも周りから話聞くだろうし、賭けやるから儲けてくれよ。」
良平は答えられなかった。
その反応を見た竜馬はある程度予想したいたのか、軽いため息をついた後言った。
「あの親子は自衛隊でパワードスーツを触っていたから技術がある。
お前にはないだろ?手伝いったってやれること限られてるしな。
それ以外でこれに関わりたいってんなら出場しかないぞ?」
良平は竜馬を見返す。
「借金も無いのにわざわざ命がけの試合に出たいなんてお前相当変わりもんだな。
…分かった。
とりあえずお前の番号を教えてくれ。」
「あ、ありがとうございます。」
お礼を言って自分の電話番号を伝える。
ん、と答えて竜馬が番号を登録する。
その場ですぐにかけたりはしなかった。
「多少日程変わるかもしれんが、2、3日後に開催される予定だからさ。
その時連絡してやるよ。
正直、出場者確保するの大変でさ。みんな逃げちまう。
お前みたいなのが出てきてくれるなら助かるんだよ。」
竜馬がクイッと中国人を親指で指す。
見ると中国人がジャンプして動きを試しているところだった。
良平は頭を下げた。
「ありがとうございます。絶対、絶対頼みます。」
その場にいる全員にお礼を言い帰った。
頭の中では様々な妄想が止まらなかった。
とにかく自分は今までの生活から大きく外れて違う世界に行く足掛かりが出来たのだ。
自分が本当に求めているものがそこにある気がする。
時刻は午前7時をまわっていた。
今までの仕事では既に仕事場に集合しているような時間だ。
スマホの着信で会社の関係者を片っ端から着信拒否にしておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます