住吉 良平 4

 「そういや、近いうちにやばいプロレス始まるって話聞いた?」

店主が笑顔でこっちに話をふってきた。

いつも笑顔の店主の笑いジワが一層深くなってる。

「いや、プロレス興味ないからなぁ。」

他の客もピンと来ていない様子で顔を見合わせてる。

「どこの団体が来んの?やんのは公民館?市立体育館?」

[いーやー、それが、やくざがバックに付いてのなんでもありの、凶器あり、殺害ありのやつやるんだと。」

「それバーリトゥード?」

他の客が聞く。

「そんなのやって警察に捕まらんの?」

「んー、そのへんは知らんけど、大々的にやるんだってさ。」

店主は笑顔のまま少し眉毛を上げた。

「しかも軍用パワードスーツ付けてだって。すげぇ動きしてくれるんじゃねぇかな。」

パワードスーツって自衛隊員が着ているのを動画で見たことがあるけど、あれって基本防弾チョッキの延長線のような。

凶器使って派手に戦っても出来るだけ怪我で済むようにってことか?

「賭けも当然ありね。」

「あー、それ興味出てきた。開催日程どっかで分からんかな。」

「ワシも面白そうなことやるって聞いただけだからなぁ。開催近くなったらどっかしら情報くるかねぇ。」

店主が腕を組んで悩む仕草をしたとき丁度良平は食べ終わった。

「時間があったら見に行くかな。そん時は教えてくれ。ごっそさん。」

500円玉を差し出す。

「あいよ、お釣り100万円。」

にやにやと笑いながらと店主が100円玉を差し出す

ノーリアクションでそれを受け取ると良平は通りを歩きだす。

大して目的はないので服、靴、電化製品でも見に行くつもりだった。

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