ジャッジの時間

「なんでもいいよ」


 パピコが最も愛を感じる言葉が、さらりとパピコの肌を撫でる。

 スマートな男。

 ああん、好き好き好き。

 パピコはサリーに寄りかかる。

 もう、ゴリラよりの狼でもいいよ。これが気分屋パピコの、ほやほやの気持ちだった。


 和、中、洋の間で揺れていたパピコだったが、選びきれないパピコの願いを叶えてくれるファミレスに足を運んだ。


 ファミレスでは久しぶりに、もしもシリーズの妄想を楽しんだ。


 パピコが締めのラーメンを食べているとき、サリーの視線を感じた。


「どうしたの?」


「やっぱり、食べてるときの君が一番好きだなって」


 パピコはうっかり箸でつまんでいた麺を落としそうになる。

 今夜、食べられるのか!?


「リピートしようかな」


「まだまだ聞かせて、君の音」


 こうしてパピコはカレーを新たに注文し、家に帰った時には11時を回っていたが、パピコの太もも上にはサリーがいた。家に帰るや否や、サリーが耳掻きのおねだりをしてきたのだ。

 一緒に風呂に入ることを引き換えに、パピコはオーケーサインを出した。


「大物が取れたよ♡」


 サリーの取れたての耳くそを持ち主に見せびらかしながら、パピコはこれが人間のものであるかどうかチェックしていた。幸運にも、至福の表情をしているサリーには気づかれずにすんだ。


 風呂の中でも、キャッキャしながらもパピコは頭の中では冷静にサリーの肉体を観察していた。


 耳くそチェックだと人間判定されたサリーだったが、すっかり割れた腹筋を見ていると、その判定もぶれてくる。


 湯船で水を掛け合いながら、あなたはいつ、私に話してくれるつもりなの? なぜそんな重要な話を私に秘密にしていたの? と、パピコは心の中でサリーに問いかけた。


 私が知ってしまったら、関係性が壊れるとでも思っているのだろうか。だとしたら心外だ。今すぐ、心配無用だと言ってやりたい。テヌートをかけて言ってやる。


 パピコはハッとした。無邪気なだけだと思っていたサリーの茶色がかった瞳に、闇を見たからだ。


「どうした?」


 湯船で向かい合ったパピコの表情を見て、サリーが優しく声をかけてくる。


「サリー、話がある」


「俺も」


 パピコは、サリーが腹をくくったのを見て、自分のジャッジに自信を深めていた。

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