第30話 『マタイ受難曲』 J.S.バッハ

 西洋音楽の歴史上、最高の作品は何か?


 という質問が出たとしましょう。


 日本人は、宗教音楽は避けたいと思うかもしれないです。


 それは、大方、否定的な意味じゃなくて、もしかしたら、失礼にあたる可能性があるから、なんだろうと思うのです。


 もっとも、親しみがないから、ということも、言えますが。


 確かに、宗教と言う存在は、古くから多くの争いも誘発して来ました。


 宮沢賢治先生がおっしゃるように『みんながめいめいじぶんの神さまがほんとうの神さまだというだろう・・・・・お互いほかの神さまを信ずる人たちのしたことでも涙がこぼれるだろう・・・・』(銀河鉄道の夜)


 と、つまり、この大バッハ先生の『マタイ受難曲』も、多くの日本人には、そうしたものの代表でありましょうし、実際この作品こそ、ヨーロッパ音楽随一の音楽だと考える方は多いのだと思います。


 キリストさまという、歴史上の存在としては、いまだ大変謎が多いかたの受難の物語ですし、全体的に、大きな罪を行ったという意識への苦しみと言うものが、長い年月にわたって積み重なってきてもいるので、確かに、軽々しく語っちゃいけないような気にもなります。


 しかし、お叱りやらもあるかもしれませんが、どんな社会の芸術音楽でも、実際に聞いてみなくては、音楽の意味はないです。


 それには、聞く自由、演奏する自由が確保されていなければ、どうにもなりません。


 前に取り上げた『ロ短調ミサ曲』とこの『マタイ受難曲』は、大バッハ先生の作品中の双璧です。(『クリスマス・オラトリオ』という大作もありますが。)


 どういう立場で聞くにせよ、とにかく聞いてみなければ、どういう感想も持ちえないのですから。


 本を読むことも、そうですよね。


 自由に読みたい本が読めるということは、とっても大切な事です。


 読みたくない本を、読まない自由もあると思いますが、こと『教科書』に関しては、勉強嫌いなやましんが、楽しくない教科書を、かつてあまりよく読まなかった言い訳には、ならないようです。


 と、なんだか、このところ、ひたすら『うつ』なやましんは思います。


 で、なんで、この非常に重たい作品を出して来たのか?


 そりゃあもう、すごい音楽だからです。


 でも、確かに、これを全曲聴くのはおおごとです。


 3時間近くかかりますし、たくさん入る『コラール』あたりは、慣れないと、ちょと扱いずらいでしょう。


 そこは、全部聞かなくってよいと思うのです。


 ちょうどよいくらい(つまりCD1枚分です)に、聞きどころを集めたCDやLPも昔から常に、国内盤が存在しておりました。


 意外と(失礼!)需要はあると言う事です。


 まっこうくさい! とかおっしゃらずに、ただ聞いてみていただければ、それでよいと思うのです。


 極端なことを言えば、『冒頭合唱』と、『終結合唱』だけでも、いいんだと思うのです。


 かく言うやましんも、もう長く全曲は聞いてないんですから。


 また、いま、全曲聞きとおす体力と気力も、もうないです。


 それでも、いやあ、すごい音楽だったよなあ! と、全曲通して聞いていた昔を、懐かしく思うのです。


 この終結合唱を歌っていて、泣いたと言うお話も、ある有名な評論家の方からも出ていました。


 また、かなり昔の録音ですが、さらに、いくらか宣伝の意味もあるのかもしれないですが、戦時中の時期に行われた、メンゲルベルクさま指揮のライブ録音は有名で(1939年)、『聴衆のすすり泣きが聞こえる!』 という宣伝文句(はっきり言ったじゃないですか・・・根拠はなしです。)が有名です。


 時期的なことから考えたら、この年は、第二次世界大戦勃発の年です。


 世界がどんどんと、おかしくなってゆく状態で、聴衆が泣いたとしても、それは、おかしくはないでしょう。


 ただ、やましんは、実際にはもう耳が悪くて、そこまでは、たぶん、今は、聞こえないですが。


 1727年に初演されたと言われます。


 『マタイ受難曲』という音楽作品自体は、もちろんバッハ先生の専売特許ではなく、たとえば、シュッツ先生や、テレマン先生にもあります。


 また、忘れられかけていたこの作品を復活させた功績者として、メンデルスゾーン先生は名高く、そのメンデ先生が使ったバージョンによる録音もありました。




 ******** うる  😿😿😢  うる ********

 




 

 





 

 

 



 

 




 




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