第28話 『レクイエム』 コッコネン
もう、8年か。
そのころは、まだお仕事には行っておりました。
まあ、内情を思えば、かなり危なくなっては、おりましたが。
やましんは、体に自信がまったくなく、社会のお役にたつよりも、足手まといになるのは確実と見ましたし、母の介護(というより監視)もあり、でございましたので、東北の被災地での応援には参加しませんでした。
その後の、熊本でも、昨年の豪雨でも、同様です。
今は、すでに母もなく、あとは、自分のからだの問題ですが。
被災地に到着した時点で、暑さと寒さだけでも、倒れるであろうと予想されました。
言い訳すると、病院の指導カウンセラーの先生からも、『やましんさんは、現地にはゆかず、募金で頑張りましょう。』、と言われておりました。
それが、確かに確実なやりかたでした。
でも、大金はありません。
お買い物のお釣りを、今も、募金箱にしばしば、ことっ!と、入れる程度です。
それと、音楽を個人的に捧げることです。
被災者の方には、聞こえませんけれども。
昔、日本が『カネは出すが人は出さない』と、地域間紛争時に国際社会から批判されたことをちょっと思い出しますが・・・・・。
コッコネン先生は、フィンランドの、シベリウス先生の後を継ぐ、大作曲家さんです。(1921~1996)
音楽院で学んだものの、作曲はほぼ独学だったのだそうで、初期の模範は、バルトーク先生にあったとか。(『フィンランドの音楽』 1997年 オタヴァ出版印刷所)
1959年くらいから、ドデカフォン(その昔『ドデカホーン』というオーディオ機器もありましたが関係なし。12音技法のこと。)技法を取り入れ始めたということであります。
コッコネン先生の創作期は3つの時期に分かれていると考えられ、その中期は、1958年~1967年とされるのだとのこと。
第3期は1968年の『交響曲草案』から始まり、この時期では、明確な12音技法は捨て、調性音楽的な、とくに長調の三和音を基盤として作曲されるようになったのだそうでありまして、この『レクイエム』は、1979~1981年の作品。
コッコネン先生最高の成功作は、二幕のオペラ『最後の誘惑』(1973~1975)であるとされますから、『レクイエム』の方が後です。
そうして、コッコ先生最後期の大作と言えそうです。
全体的に、透明な音たちによって作られる、深い神秘感に包まれた、大変に美しいレクイエム。
明確な旋律線は見つけ出しにくいですが、この深い癒し感を持った音楽は、なんともじゅわっときます。(多少、慣れは必要かも・・・)
最後『ルックス・エテルナ』(永遠の光)の終決和声の美しさがひときわ印象的です。
これは、シベリウス先生の『タピオラ』の終結和声にどこか通じる感じがありますなあ。
しかし、もっと安定した終末感が強いです。
何もできない、おろかなやましんですが、神戸の震災も含め、近年頻発する大災害の被災者の皆様に捧げます。
日本中、被災地ではないというほうが、どんどん少なくなってゆくのが目に見えるようで、明日は(いや、今日は)我が身かと思う、うつうつな日々であります。
やましんが聴いているCDは、《MILS 9759》であります。
コッコネン先生のお顔のお写真が使われたカヴァーと、後ろのタイトル表記だけで、一切解説も入っていなかった、いかにも、すっきりとしたCDさんです。
********** うつ 👏 うつ **********
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