第19話 『バラード ト短調』 グリーグ
これは、ショパンさんの曲ではなくて、グリーグ先生の作品です。
もう少し題名を詳しく書きますと『ノルウェーの民謡による変奏曲形式のバラード作品24』であります。
あまり普段は耳にしない作品かもしれませんが、グリ先生のピアノ曲としては、最大規模の傑作です。
ご両親を失った悲しみなどを基盤に持つ、かなり深刻で奥の深い音楽であります。(1875~1876年作曲)
決して楽しいという作品ではなくて、悲痛な、心からじんとくる音楽です。
変奏曲としても、大変優れていると思うのです。
でも、その底に秘められた美しさや、命の尊さ、はかなさ、というものに対する想いも、痛切に感じられます。
追悼の音楽、不安の表現としての音楽という意味合いも、かなり強いと思います。
なお、この主題は、ルドヴィク・マティアス・リンデマン様が収集した、ノルウェーの民謡だそうですが、どこか、スペイン映画『穢れなき悪戯』(1955)の『マルセリーノの歌』に何となく似ているところが、ちょっと興味深いところです。
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