第2話ダンジョンのメイドさん
ダンジョンの中はある程度開拓されているので、道は綺麗に整えられている。
もちろん奥へと進む程、整理されていない。
僕の横にはメイドさんがいる。ひょんなことからパートナーとして、一緒にダンジョンに入ることになったのだ。
ダンジョンの入り口付近では他のエクスプローラーたちも居たが、別のルートにわかれていった。なので、この美人なメイドさんと二人きりだ。深い意味はない。
「えっと、改めて自己紹介でもしようか!僕は【ジン】元々は武器屋で手伝いをしてたんだけど、20歳になったからエクスプローラーになったんだ!」
「私は【メリア】といいます。以前はエクスプローラー様の家のメイドをしておりました。エクスプローラー様の様々なアシストができますよ。」
「そうなんだ!メイドがダンジョンに向かうなんて聞いたことないけどなぁ。何か目的でもあるの?」
そう僕が聞くと、クールな表情が少し恥ずかしそうな顔に変わって答えた。
「…ご主人様がダンジョンの話をしてくださるのを聞いて興味がわいて、色々と本などで調べたりしたりしてたのですが…どうしてもこの目で見たいという好奇心をおさえられなかったのです。」
「素敵な理由だね!これからよろしくね!メリアさん!」
彼女の純粋な探求心と好奇心には共感できた。手伝いをしていた武器屋の親方も元々エクスプローラーだったので、よく話をしてくれたものだ。
「さて、ダンジョンにきたら、お金になりそうな物を持ち帰らなきゃだけど…このエリアは岩壁に苔とか葉っぱばっかりだしなぁ。先に進まなきゃかな」
「待ってください!」
僕が先に進もうとすると彼女が止めた。
「そこの赤い花を見てください。あれはハーブティーにするととても美味しいんですよ」
「え?高く売れるの!?」
「…美味しいんですよ」
「え?だからたかku」
「美味しいんです!今淹れますので待っててください!」
そう言うとメイアさんは、持っていたカバンから何やら組み立て式の機械をとりだしてお湯を沸かし始めた。ここでまさかのティータイムにするらしい。
「ちなみにそこに生えている草の先についている実もクッキーみたいで、このハーブティによくあいます。」
とりあえず、ダンジョン攻略を始めてわずか数分だが、優雅なティータイムがはじまった。ハーブと実は美味しかったです。
ティータイムが終わって先に進むと、【モチブタ】というモンスターが苔やキノコを食べていた。これは食料になる。しかし、乱獲防止のため狩猟数は1人1匹までとなっている。
「よし!さっそくこの剣で一撃…」
「いえ、それでは逃げられてしまいますよ」
「じゃあ、どうすればいいのさ?」
「ご主人様から聞いたことがあります。モチブタには罠を仕掛けろと。」
「罠?」
「この【ネムネムキノコ】で作った団子をこの縄トラップに仕掛けてとらえるのです。綺麗なまま捕獲できるので、わりといい値段に換金できます。」
「なるほど!さすがメイドさん!」
いや、メイド関係ないけど。そんなこんなで、罠を仕掛けた。
モチブタが恐る恐る罠に向かってくる。
息を凝らしその瞬間を待った。
そして、ついにモチブタは罠にハマり、縄が足にかかり、ネムネムキノコのおかげでしばらくして寝始めた。
「捕獲完了です!」
メイアさんは少しドヤ顔をしている。だがかわいい。
「さて、まずは1日目、これを売って明日に備えるか~」
「そうですね」
こうして僕とメイドさんのダンジョン攻略1日目が終わった。
…換金した金額はそのまま夕飯代で消えた。
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