目を覚ましたその時

「ここは、どこ……?」


意識を取り戻した私は、家ではなく病院にい


た。


腕を見ると、点滴をしていて体が重かった。


「そうか……。あの後、私倒れて……。」


私は、体を起こし立ちあがった。


「言わなくちゃ……!ちゃんと、翔


に……!きゃっ!」


私は、足がガクッとなった。


急に足の力が抜けた。


立ち上がることも出来なくなった私は、体を


必死に動かした。


「なんで……?なんでよ……!!動いて!私


の足……!」


私は、必死に足を動かそうとした。


でも、足は動くこともなく私は床にへたりこ


んだまま。


すると、私は涙があふれ出した。


「どうして……!私……、まだ言えてないの


に……!この体のことも……、好きって言う


気持ちも……。」


悔しい……!


悔いが残るんだったら、もっと早く言えば良


かった。


ガラッ


扉の開く音がした。


見ると、そこには翔が立っていた。


「おい!?どうした、咲!こんな所でへたり


こんで!」


「な……、なんでここに……?」


「なんでって、お前のことが心配で来たんだ


よ!でも、良かった起きてくれて……!」


言わなくちゃ……!私の、気持ちを……!


私は、翔の服を引っ張り、こう言った。


「好き。」


例え、私の命が尽きてもこれだけは言いた


い……。


悔いがないように……。


それが、私の生き方だから……。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る