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 なんて口にしても特に興味はない。勉強が出来た子だから、きっと大学へ進学してなにか頭のいい職業に就いているに違いない。例えば教師だとか。

「あり得なくないな」

 多分人気はないだろうけど、なんて。あの頃からずいぶん経っているのだから、マユズミも変わっているのだろうけど。

 あの頃のマユズミは例えるなら一匹狼、が近い気がする。彼女は騒がしいグループにも、静かなグループにも属していなかった。いつも一人で、周りから見たら孤独なのに本人は全く気にしてなどいない感じで。他の女子とは一線を画していた。

 浮き足立った女子高生の中で、すっぴんに黒髪のショートヘア。鞄も文房具も遊んだりしないし、授業もサボったりしない。笑わないし、話さないし、無愛想だし、いつも窓の外を眺めていた。

 友達が居たのかは知らない。俺は友達じゃなくてただのクラスメイトだったから。

 けれどそんな彼女の忘れられない表情がある。

 彼女が凄く自然な笑顔で笑っていたのだ。

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