LAST ORDER : A NEW DAWN

NOZOMI

序幕 PROLOGUE

はるか昔、世界は黄金時代だったという。

物が溢れかえって、今では想像できない主義や思想が存在していたらしい。

きっと彼らは

「この先々の時代、よりグローバル化が進んで国際協力が強まるだろう。」と、

将来を楽観的に見た人が多かったのだろう。

しかし、人々が願い、想像した世界にたどり着くことはなかった。


かつての黄金時代に衝撃を与えたのは、新しい出会いだった。


ユーリイ・ガガーリンが宇宙に飛び立って、初めて青い空を外側から見下ろした時から、もうその出会いに近づいていた。

世界の国々が競い合うように宇宙開発は進み、月に新しい国が生まれ、人々はさらに遠くの世界を目指し開発を進めた。黄金時代の人々はこれを「宇宙の大航海時代」と呼んだ。

サーガ・イクスプローラー(saga explorer)、つまり物語の探検家と呼ばれる人達が、各々の象徴と誇りを胸に、より遠くに、まだ誰も見たことがない世界に進んだ。

3世紀にも及ぶ宇宙の大航海の末、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)と呼ばれる領域に惑星を持つ星系が見つかった。

史上初の、水のある惑星との接触である。

探検家たちの母なる故郷に似たその星に、7人の専門家が地面を踏んだ。

専門家たちは、その星で“邂逅”した。


━「歴史は繰り返す。それゆえに過去の記録はまた将来の予言となる。」━

古代ギリシアの賢人、ヘロドトスが残した言葉を、首をかしげることなく頷ける時代が今頃来たのかもしれない。

私たち人類は、石器時代から平和と安寧から戦争と波乱を幾度となく繰り返してきている。

そう、私たちは結局、前に進んではいても、ずっと輪廻の道をただひたすら歩いているだけでしかなかったのだ。

新しい出会いと共に、黄金時代は終わりを迎えていた。

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