第19話 『賞金稼ぎの資格』
次の日、最初に説明を受けた部屋にみんな集められた。
みんなの前にガリア副団長が立ち、話す。
「連日の訓練お疲れ様であった。今回、合格したものも出来なかったものも気を抜かずに鍛錬に励んでほしい。さて手続きについてだが、合格者と落ちてしまった人で違うものになってしまうため別けさせ貰う。合格者は着いてきてくれ。後は頼むぞ」と入り口に居た騎士に話しかける。
別室に移された合格者九名。
またガリア副団長が話す。「改めて合格おめでとう。君らは優秀である」と表情を崩した。「堅苦しいのはここまでだ、なかなかなれないものだ」にかぁと大雑把に笑う。 「しかも九人も合格するのは久しぶりだ」
「まあ四名程違うものもいるようだがな」ちらりとこちらを見る。 「君らはどうするかね? 聖騎士になるか賞金稼ぎになるか」
勿論。
「「「「 賞金稼ぎになります 」」」」
四人で被る。
「あや、即答か。参った参った。そうだ、ちなみにだが賞金稼ぎになりたいだけなら聖騎士の試験を合格しなくてもなれたんだぞ?」
それは聞いてない。
「どちらにせよ強いに越したことは無い! 結果オーライだ!」
……なにか納得いかないが、ソフィとまた出会えたのだ、結果オーライだ。
「話を戻そう。大事なことだ」声色が変わる。 「闇ギルドというものが存在しているのは知っているか?」
「闇ギルドは言うなれば犯罪組織だな、物を盗んだり、人を殺したり、好き勝手やってる連中だ。各地に点在していて、腕の立つ連中もいる。そして闇ギルド中でも一番のリーダー的な存在が」
「こいつだ」 顔写真を取り出す。
寒気がした。
あいつだ。
呼吸が浅くなるのが分かる。
「こいつは一番新しい顔写真だ、目撃情報を元に描いたものだ。最近、誰かと戦ったのだろう、頬に新しい傷が出来ていたらしい。目立つから分かりやすいな」
「名前は不明だ、仮にオルクスと呼んでいる」
「こいつはかなりの腕利きで我々でも手を焼いているのだ」
「過去に幾つも事件をだな……」
「おい、聞いてるか?」
「は、はい。大丈夫です」 その一言で我に返る。そうだ、話を聞かないと。
「……まあいい、つまりだ、危険なやつだから見かけたら逃げて通報ってことだ。さもなくばすぐあの世逝きだろうな」 首が切られる動作をする。
「という訳で話は終わりだ。賞金稼ぎの証としてこの腕輪を渡そう。依頼を受諾するときや報酬を貰うときに必要だから無くすなよ?」 サインも忘れんなよ。と紙を渡される。
白く光沢のある細い腕輪だ。
「あとは聖騎士についてだが……」
それから色々話をして、サイン等を済まして話は終わる。
部屋に戻り、後片付けを掃除を済ます。
「もうお別れかー、残念やんなー」レンナが掃除が終わって机に突っ伏す。
「そう、だね。けど、楽しかった」マリーは目線を落として微笑む。
「またみんなで集まりましょう! 集まりましょう!」 ライラの元気は何処でも周りを助けてくれるだろう。
「そうだね、またいつか」 レアは深くうなずいた。
「うん。またどこかで会おう」
そうだ、わたしには会いに行ける手段が……ん?
「ああぁぁぁ!!!」
みんなびっくりしてわたしを見る。
「そうだ、みんなどこに住んでるの? それ聞いてなかったよ!」
あぁそういえばと、みんな忘れていたようだ。
リンナは東方都市タイタンより北へ行った山の麓にあるカーサ村
マリーは西方都市ターチャに住んでいる。
ライラは南方都市ロマから北西に1日くらいの所にあるハモット村
わたし達は、住んでいた村は無くなったが、エンデに少しいるとだけ話した。
みんなは詳しくは聞いてこなかった。いずれ話せる時が来るといいな……。
三人ともそこまで副都市から遠い所には居ないみたいだから行こうと思えばすぐに行けそうで良かった。
また会うことを誓って、今度こそ別れる。
城へ出て、いつもの四人で集まって昼食を取りながら今後について話し合う。
「無事に賞金稼ぎになれた訳だが、今後どう動こうか」 タクはウーロン茶を吸ってる。
「そうだね、とりあえず賞金稼ぎとして色々依頼をこなしてみるのはどうかな?」 マーくんはオレンジジュース。
「だね、せっかくなったんだしやってみたい」 レアは紅茶。
「あ、そうだ。みんなに報告があるのだけど」 私はミルクティーを飲みつつ、思い出したようにあの黒いカードを取り出してみんなに見せる。
「このカードはなんと! 遠くの街まで一瞬で飛ぶことができる代物なのですっ!」なるべく小声で、なるべく大きく伝える。
みんなポカーンとしてる。そうでしょそうでしょ、そうなるよね。
「セチアちゃん……また……」 あれ?妹から残念な目を向けられている?おかしいな?
「おーそうなんだー。それでそのカードって何に使うの?」 マーくんは軽く流してる。
「まった変なものでも食べたのか……」タクは頭を抱える。
「ちょっと! ホントだよ!」
「うーん、セチアが信じられないという訳じゃないが、内容が内容だからなぁ」 タクが言うと二人もうんうんと頷く。
それを言われて思い出す。わたしは何の疑問も持たずにそういうものだと信じていた。ガリア副団長に言われたから?いや、そもそも疑ってすらなかったのかもしれない。
「あれ……もしかして、わたし騙されてる……?」
いやいやいや、それは、ない。だろう……?
あの副団長がそんなことするのか……?副団長だから嘘はつかない……??
………。
……???
「分からなくなってきた! 城へ戻ろう!!」
こうしてわたし達は城を出てから小1時間ほどで城に戻ることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます