第2章 『聖騎士と賞金稼ぎ』
第14話 『わたしたちの名前』
聖騎士と賞金稼ぎ、似ても似つかない二つは何故同じ括りになっているのだろう?
正直な話、賞金稼ぎなんて簡単になれて、簡単に野垂れ死んでしまうような存在かと思っていた。
その野垂れ死にを減らすということなのだろうか?
考えても答えは出てこない、一先ず置いておこう。
先ほど前で話していた男性、ガリア・ダスガンというそうだ。副団長らしい。
あの落ち着いた感じと、何でも見透かされそうな鋭い眼光、なるほど確かに、副団長の風貌はあるわけだ。
副団長が、訓練と言っていたものは、どちらかというと確認に近いような気がした。基礎能力に不備はないか、どこが長けているかとか、柔軟性や瞬発力、持久力など様々なテストをした。
一通りやると、次は剣術訓練が始まる。散らばって1対1を作り、参ったと言わせるか、手から剣を落とさせるかまで続けそれを5セット行う。
剣はあまり使って無かったけど、わたしの持ってる長いナイフに近い感じがあったのですぐに慣れた。だが所詮は付け焼刃。2-3で負け越す。
四人の中で、3-2で唯一の勝ち越しであるマーくんは力勝負ではなく、剣筋を受け流し、軽やかに立ち回っていた。
昔から器用で物覚えも早かったから、やろうと思えば何でも出来たのだろうと思う。
今日はこれで終わり、寮で泊まるとのことだったので、訳を話して解約と宿へ荷物を取りに行く。綺麗でいい部屋だったのになと少し残念に思う。
武器は受付に預けて、部屋へ向かう。5人部屋だ。
今回の志願者は23人、内5人が女性だ。その5人で一緒の部屋になった。
軽く自己紹介しようということになり、バタバタしてたわたしたち二人は最後になった。
「自分は、リンナ・ロイガーナ、好きな事は食べることです! リンナと呼んでなー」 イントネーションが独特だ、面白い喋り方をする。橙色でベリーショートの髪が似合っている。背も高いし鼻も高い、女性に人気が出そうな感じだ。
無理やり自分のペースに引き込んで力押しするタイプの剣術だった。
「私は、マリー・ブリガル、です。本が好きです。マリーと呼んでください」 物静かな子だあまりしゃべるタイプではないようだ。肩甲骨くらいまでの綺麗な深く青い髪をしていて、儚げな子。白い肌が透けて見えそうだ。
流れるような剣術は素晴らしい物だった。
「私は! ライラ・フリージアです! 宜しく! 元気さが取り柄です!」 声が大きく元気な子だ。ショートカット金髪で童顔、元気さも相まってかなり幼く見える。
勢いはすごく良いが、無駄な動きが多い剣術だった。
「わたしはセチアです。料理が好きです。双子の姉です」
「私はレア。動物が好きです。双子の妹です。よろしく」
続けて挨拶をするが、みんな不機嫌そうな顔をしている。何か変な事でも言ったのかな?
「なーなー、君ら苗字ってなんていうん?」
「苗字…?」 二人して首をかしげる。
「そんな可愛い顔して首かしげられてもなぁ…。」 罰が悪そうな顔をしながら 「えっとな、みんな名前ともう一つあったよね? 自分だとリンナ・ロイガーナのロイガーナ。普通はあるはずなんだけどなぁ。ホントに知らない?」
「聞いたことないよね?」「うん、セチアとレアとしか」
どういうことだ?わたし達には苗字があるの?
「生まれは何処? 親とかは?」
「生まれは、タイタンから南に3日程の所にあるキンキ村だよ、親は、今は分からない」
リンナがキンキ村と聞いたとき、少し眉が動いたような気がした。
「そっかー、その村の風習とかなんかな? そんな風習聞いたことないけどさ」クハハと笑う。
「あの、ここだと苗字が無いと不便、だと思うから、仮にでも名乗るのは。どうかな?」 マリーが提案を出してくれた。
「それ! 良いと思います! どうします!? 私たちも考えますよ!」 元気いっぱいだ、一緒に居て楽しそう。
「そやな、それがいいと思う。どうする?」
「んー、急に名前付けろと言われても……」
思いつかない。こういう時はレアに聴くのがいいだろう。
「レアは……」「……ィナル……」
「ん?」
食い入るように言われてしまって良く聞き取れなかった。
「カーディナル、私達の髪色に近い色の呼び方、家にあった辞典で呼んだ記憶がある」
カーディナル……。
セチア・カーディナル。 レア・カーディナル。
響きは悪くないかもしれない。
「いいのではないでしょうか!!?」 フンスフンスとしている。人の事でこんなになれるのは、良い人の証拠かもしれない。
「少し、固い印象あるけど、悪くはない、と思います」 小さく微笑んでくれた。
「可愛い顔してるんだから、名前くらい固い方が舐められなくて済むしええやん」 わたしたちの間に入って肩を組む、そして肩をペしぺししてくる。フレンドリーな人だ。しかも悪い心地もしない。
「それじゃ、改めて自己紹介宜しく!」
「え、あ、はい!」急に振られて慌てる。
「えっと、わたしはセチア。改めセチア・カーディナルです、宜しく!」
「私はレア。改めレア・カーディナルです、よろしく」
一晩で仲良くなれた気がする。
カーディナル。
タクとマーくんにも教えてあげよう。
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