第13話 『賞金稼ぎと聖騎士』
エンデに来て早々に訳の分からないことになってしまった。
下手に逆らうことも出来ないので相手に従う。
「おい、手枷をして連行しろ」リーダー的な人が後ろの兵に命令をしている。わたしたちが何をしたというのか…。
「あの、これは」「私語はするな黙ってろ」と一喝。レアはびくっとして小さくなってしまう。
四人は連行される。どこへ行くのだろうか。
2階、3階、4階、5階の部屋へばらばらに隔離されてしまう。みんなの安否を確認するために声を出そうにも階数が違うし意味はないだろう。大人しく待つことにする。
数分後、一人の男性がやってきた。
「手荒な真似をして済まないな、お嬢さん。別々に部屋に入れてから触れもしてないからみんなは無事だよ、安心なさい」
男性はとても落ち着いた話し方をする。嘘にも聞こえないから一安心する。
「さて、お嬢さん、いえ名前はセチア君と言ったかね。このカードは何かわかるかい?」 先ほどのカードを見せてくる。
「いえ、全く。エンデに行けば良い事ある。としか聞いてなくて……」 貰った時の名前そのままだ、それしか知らないのだからしょうがない。
「このカードはエンデの技術の結晶というべきか、本来ならエンデに関わる一部の人にしか渡ってない代物なんだよ、それに使えるのは認証登録が済ましてある本人のみが使用できる。生体とリンクしているから本人が居なければ使えないということだ」
なんだかわたしが持ち主を殺した。と言ってるように聞こえる。
「それでだ、セチア君。君はこれをどこで手に入れたのかな?」 鋭い眼光だ、嘘ついても見透かされそうな感じがする。
「エンデから東へ3日程行ったところにあるアイナ村です。そこで催しの景品として貰いました」
んー。と男性は頭をガシガシ掻いて悩ましている。
「嘘はついていないのは分かる。が、んんーーー訳が分からんぞ」
と後ろから一人の兵がやってきて男性に言伝を言っている。やがて話が終わると改まってから
「あー、そうだな君らは賞金稼ぎになりに来たと言っていたな?まずはそっちを済ましてくるといい。怪しいが悪い奴らではないのは分かっているしな。このカードは此方で預かっておくぞ少し調べさせてもらう」 またあの鋭い眼光だ
「おい、お前」 と見張りの兵に話しかける。 「他の三人と一緒に説明室まで連れて行ってやれ、丁重にな」 はっと敬礼。びしっと決まっている。
ではこちらへと案内される。
4階はマーくんだ無事みたい「大丈夫だったみたいだね、僕も大丈夫だよ」
3階はタクだ。なぜか見張りの兵と打ち解けてる「気が合うやつだった。もう少し話がしたい」 引っぱたいて連れていく。
2階はレア、何か怯えている「あ、あの見張りの人がなんか、怖くて…」兵の人が少し困ったようにしてる。あの様子だと何もされては無いようで良かった。よしよしと頭をなでる。
案内されて広めの会場に通されると中には数十人がいる、みんなが賞金稼ぎになるのだろうか。
「あー、揃ったので早速、話をさせてもらう。」私の所に居た男性だ。三人と合流してる間に先に来ていたのだろう。
「まずは、志願してくれてありがとう。心より感謝する。今から大事な話をするので心して聴くように。」 緊張が走る
「この聖騎士団は、選ばれた者にしかなれない、それは分かるな? 大体は副都市へ警備兵として勤務することになる。聖騎士に夢見る諸君であろう。だがそうは甘くない。血反吐を吐く思いをする。死にたいと思うときもある。家に帰りたいと思うときもある。それでも志願するというのか?」
………ん?今、何と言った…?聖騎士団…?賞金稼ぎ…?あれ?
「右手で拳を作り手の甲は上に向け、体の中心に当てる。これが敬礼だ。」
「覚悟ができたのなら敬礼で示せ!」
はっ! と周りが全員敬礼をする。
敬礼していないのはわたし達、四人だけだ。
頭の中がオーバーヒートしている。なんなのこれは?
「貴様らやる気がないなら戻れ、あるなら敬礼をしろ」
頭を振りたくって意識を強引に戻す 「あ、あの! わたし達、賞金稼ぎの手続きに来たのですが……!」
「ん? なんだ貴様ら知らないのか?」
「えっと、はい」 何かわからないけど返事をしてしまう。
「聖騎士も賞金稼ぎも大元は同じだ。つまり試験は同じものという訳だ。訓練も同じものをやるからな」
「はぁ…え? そうなの!?」
マーくんに顔を向ける。ブンブンと顔を横に振る。
「聖騎士にしても賞金稼ぎにしても、敬礼はしないとなれないからな、ほら早くやっておけ」 にかっと笑う大雑把な笑い方だ。
四人で顔を見合わせる。みんな訳が分からないという顔をしている。
「でも、やるしかない、んだよね……」 三人とも渋々頷く。
前を向いて深呼吸。えっと、敬礼のやり方は……。
はっ と少し元気のない敬礼が四つ並ぶ。
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