第十三章 皇帝を護る剣 -11-
そのまま通り過ぎると、上昇して反転し、再び急降下する。
今度は左手で
距離を詰めた分、
追撃の斬撃も、当然すり抜けるな。
反撃を食らうのも莫迦らしいので、一旦上空に離脱する。
しかし、この戦い方だとお互い決定打がない。
いや、本当にそうか?
ならば、空間を越えて撃つことも可能なんじゃないか?
試しにもう一発撃ってみる。
弾丸の行き先に虚空をイメージしてみるが、これが難しい。
自分から離れたところに接続場所を作るのは、至難の業だ。
結局、弾丸は制御を失ってあらぬ方向に飛んでいってしまった。
ちょっと、いまのぼくではこの方法で
なら、仕方ない。
上空からの攻撃を諦め、地上に降りる。
「何だ、こそこそ遠くから撃ってくるのは終わりか、ドゥリスコル」
「遠距離の技は磨いてないし、通用しそうもないですからね。やっぱり、直接ぶっ叩かないと終わらない。それに、ある程度そちらの技は見せてもらいましたし」
「そうか? 見たと思っているだけかもしれぬぞ」
様子見をしていた
来るか。
重心が前にかかる。
左足に魔力が集中し、強力な蹴り足が爆発的な突進を生む。
一瞬で間合いに踏み込んでくる。
待っていたらそのまま斬られるからな。
右上からの斬り下げ。
まずい、今までより速い。
踏み込みの速度上昇が、抜刀の速度にも影響を及ぼすのか。
回避できる予定が、できそうもない。
ええい。
仕方ない、更に体を前に移動し、できるだけ根元で受け止める。
衝撃が
ここで、反撃に出る。
密着した状態で
ちえ、大したダメージは与えられていない。
こっちのが痛かったな、いまのは。
「
一連の動きになっているんだ。
いまはまだ単発だから対応できるが、連続で来られると厄介だな。
「だが、貴様の技には、粗が多い。速度は速くても、洗練されておらん。それでは、
そうなんだよな。
さっきから、攻撃しても微妙に打撃点をずらされている。
あれでは、
攻撃する前に、予測されているみたいだ。
予備動作や癖はクリングヴァル先生に矯正され、残ってないはずなんだがな。
それでも、攻撃の手を止めるわけにもいかない。
当然、
煙と轟音でこちらの位置は掴めていないだろうが、
行け、
その上での奇襲。
威力は充分。
当たれば、
だが、連続して放たれた
うお、間に合うのか。
これは、
だが、そこで終わりにはならない。
更なる
鞘を持って抜く位置を変えることで、剣筋が変幻自在になるのか。
何とかかわそうとするが、流石に対応しきれない。
身を捻るが遅く、左肩から腹にかけてすっぱりと斬られる。
痛えっ。
紙のように
傷は皮膚と僅かな肉を持っていかれただけで、さほど深くはない。
だが、じわりと血が滲み出し、白いシャツを赤く染める。
まずいな、これで長期戦ができなくなったか。
だんだん追い詰められていっている気がする。
おっと、まずい。
痛みで硬直した隙に更に追撃がきそうだ。
ちょっと、息を整えたい。
斬られた傷も痛むが、精神を集中すれば痛みは消せる。
そのためにも、ひと呼吸入れたかった。
それを、
再び、
回避や受け流そうとすれば、
接近して、止めるしかない。
後退を止めて、反動とともに前に出る。
この刃を止めている間に、何とか一撃を入れるのだ!
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