ダークプリンセスの苦悩と野望?
入学式からあっという間に3週間ほど経った。
クラスのみんなは、お互いの事を知り始め、クラスが賑やかになってきた。
俺か?俺だって、クラスには溶け込めている。
(そう、まるでそこらへんの酸素のように空気に溶け込んでいる。大まかに空気の割合は、窒素が約80%、酸素が約20%らしいが俺の割合は0.001%くらいだな。)
そんな俺が空気を吸っていいのか、議論したいところだが議論する相手もいないのでやめておこう。
相変わらずダークプリンセスこと、黒使 姫との昼食は続いている。
こないだ誤解された後、すこし距離を置かれたが、今はなぜか前よりも距離が近く感じる。少しずつだが、話すようにもなった。
(まあ、大体が相手から一方的に話しかけてくるのだが。)
少し話をして、分かったことがいくつかある。
ダークプリンセスという名は、黒使が好きなアニメの敵キャラを元にしているらしい。
なんというアニメだったか、3人はプリンセス?いかにも女子小学生が見そうなアニメだったことだけは覚えている。
あと、こいつは割と人見知りだ。
最初にあれだけかまして、その作戦が失敗したことに心の中では気づいているのだろう。
俺以外のやつには、基本的に話しかけない。
人に話しかけられた時も、なぜか一回ビクッと反応する。しかも、その話しかけられる内容もほとんど冷やかしだ。
「ねえねえ、ダークプリンセスちゃんはいつも家で何してるの?」
と、まあこんな感じに男子に話しかけられ、
「わ、我は家では正義の味方を倒しているのだ!なんせ、ダークプリンセスなのだからな!はっはっは!」
と返事をする。
(おい、顔が引きつってるぞ。)
大体聞いた男子は笑えを堪えながら帰っていく。
その後の、ダークプリンセスの顔といったら、牢屋に閉じ込められたお姫様かっ!てくらいの悲しい顔をしている。
あいつもあいつなりに、後戻りが出来ないことに気がついているのだろう。
そう、人というのは第一印象でほぼ決まる。証拠は俺だ。クラスのみんなにとって、黒使 姫の第一印象はダークプリンセスというわけだ。
「ねえねえ、西村くん。」
隣から可愛い声がした。
そう、入学式に話しかけてくれた、柊 美咲だ。柊はその淡麗な容姿と人柄から、すぐにクラスのマドンナというポジションについた。
まあ俗いう、一軍?陽キャ?そういう部類なわけだ。
(柊さんは今日も可愛いなあ。)
と思いながらも、鼻の下を伸ばすわけにはいかないので、平然を装って返事をした?
「なんだ?」
柊は続けるように言った。
「西村くんは黒使さんの事をどう思ってる?」
その質問に少し困惑しながら、
「どうもなにも、ただの中二病だろ。あいつはあいつなりに頑張ってるっぽいけど。」
続けて俺は言った。
「顔は可愛いんだが、性格があそこまで普通じゃないとなー。」
心配そうな顔をして、柊は会話を続けた。
「やっぱり中二病って普通じゃないよね…。みんな率先しては、近寄ってあげないみたいだし。」
俺は沈黙という返事をした。
「西村くんありがと!私、今度黒使さんに話しかけてみるね!」
と言って、笑顔を見せてどこかへ行ってしまった。
(あの笑顔は永久保存版だ。心のアルバムに留めておこう。走馬灯を見る時に、最初か最後に出ますように。)
場面は変わり、今は放課後だ。俺は帰宅部という、きっと全国所属部員数No.1の部活に所属している。
そして、今日提出するはずだったプリントを忘れてしまい、再登校している。
(間先生はどこだ?理科室かな?)
そんな事を思いながら先生を探していると、クラスの電気がついている事に気がついた。
(こんな時間にクラスに残ってるやつなんているのか?)
よく見ると、黒使 姫が一生懸命なにかを書いているようだった。
時間に余裕があるし、話しかけようと教室のドアを開けた。
そうすると、黒使は慌ててこっちを向き、慌てて書いていたものを隠した。
「なんだよー、ダークプリンセスの設定でも考えてたのか?俺にも見せてくれよ。」
そう言って、近づくと黒使は慌てながら、
「そんなんではない!今は、その…、普通の者が見ると失明する手帳を書いていたのだ!だから、見せられるものではない!」
(こないだ、俺が一緒に探してやったやつか。)
そう言って、急いでカバンに手帳を入れようとするが、余程テンパっていたのだろう。手帳をすごい勢いで俺の方向に落としてしまったのだ。
俺はこのチャンスを逃すまいと、拾って中身を見てしまった。
「や、やめてくれー!!!」
と黒使の声が聞こえたが、もう遅い。
「ふむふむ、どんな新しい設定だ?地獄の番犬でも飼ってるとかか?ん?なんだ?クラスの全員の名前が書いてあるぞ?」
俺がそう言うと、普段元気なダークプリンセス様は、下を向いてプルプル震えていた。
「なになに?柊 美咲。出席番号 25番。性格 明るくて人気者、顔も可愛い。柊ちゃんと仲良くなればみんなも話してくれるかな?これってもしかして、お前…。」
と話の途中で、黒使にその手帳を取られた。
そして、顔を真っ赤にしてこっちを見ながら
「実を言うと、この手帳はこのクラスを支配するための計画書なのだ!皆の特徴や、弱みをここに書き、研究し、このクラスを我のものにするのだ!」
(おい、違うだろ。これは絶対にあれだ。友達いない人がよくやる、クラスの人と仲良くなるためのノートだろ。苦し紛れにもほどがある。でも、まあこいつはこいつなりに本気で頑張ってるんだな。しかし、これは使えるかも。)
俺は右手を頭の後ろに当てながら、黒使に向かってこう言った。
「そうですか。じゃあダークプリンセス様。僕もその計画に入れてくださいよ。もし、支配できたら、そうだな、クラスの半分を俺にくれるって事でどうだ?」
(どこのゲームのラスボスの提案だ。まあもしかしたら、俺に友達ができるかもしれないし。)
それを聞くと、初めはポカンとしていた、黒使の目がどんどんキラキラ輝いたのがわかった。
「そこまで言うのなら計画に入れてやろう!本当は1人でやりたいのだが、そこまで言われたら入れるしかないな!だか、半分は欲張りすぎだ。せめて半分の半分だ!」
腕組みをして、とても嬉しそうにしている。
それを見た俺はなんだか、笑ってしまった。
「なにがおかしいのだ?」
と黒使は聞く。
「いや、なにもおかしくないよ。じゃあダークプリンセス様、クラスを支配しに行くとしますか!」
こうして、俺ら2人のクラス支配計画が始まった。
ここまできてしまうと、流石の俺も先が読めない。
だが、これも全部俺のためだ。俺が普通の人生を歩むには、もうこのくらいの事をしなければならない気がした。
決して、黒使 姫のためではない。
「あ、そういえばさ、俺の事もさっきの手帳に書いてあるんだよな?見せてくれよ。」
と聞くと、黒使は手帳を俺に渡した。
「えーと、なになに?西村 通(ダークプリンセスの召使い)。出席番号 19番 性格 ぼっち。・・・、はぁ!?なんだよこれは!内容薄いし、悪口じゃないか!しかも、ぼっちは性格じゃねえ!」
そう言うと、黒使は笑いながら
「本当の事だからしょうがないでしょ?」
と言った。
(はぁ、もうクラス支配計画やめたい。)
ちなみに1番下に小さく、高校最初の友達、と書いてあった事には気づかなかった。
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