蛇王再臨―アルスラーン戦記13―/田中芳樹

 今日、地下鉄に乗りながらこの本を読んでいて泣きました。


 いい年したオジサンが文庫本片手に鼻をすすりながら涙をこぼしている姿に、廻りの乗客はドン引きしたことでしょう。

 だが、しかしっ!

 友の死を悼んで何が悪いっ!!

 あんなにも彼に会いたがっていたのに……彼に会うことを心の支えにしていたのに。会えたよ、会えたけれどさぁ…………。

 後半には信頼する仲間との別離もあり、いよいよ物語の終わりが近づいていることを感じさせてくれます。



 このアルスラーン戦記もヒロイック・ファンタジーの名作です。

 以前取り上げたグインが圧倒的な能力を持っているのに対し、主人公のアルスラーンは武力も知力もごくごく普通。けれど、誰にも負けない人間力を持っています。

 彼の持つ人としての魅力に引き寄せられた、多くの仲間たちと共に数々の困難に立ち向かっていく物語です。


 アニメとして放映されたのでご覧になった方もいるかと思いますが、このアニメは原作にかなり忠実で、各キャラのイメージも合っていたので、アニメから入った方でもすんなりと小説の世界に入れるかと。


 グイン・サーガは別格ですが、このアルスラーン戦記も数多くの魅力的なキャラが描かれています。

 マルダーン・フ・マルダーン(戦士の中の戦士)との異名を持つ黒衣の騎士ダリューンを筆頭に、“宮廷画家”の肩書を持つ戦略家ナルサス、ファランギースにギーヴ、エラムにアルフリード、キシュワードも好きだしクバードも……。

 国と国との戦いや駆け引き、王位継承、そして魔物たち。様々な要素を盛り込みつつ壮大な人間模様が描かれていて、一気読みしてしまうこと間違いなし。

 しかも、昨年、このアルスラーン戦記がニュースにも取り上げられました。


 1986年に第一巻が刊行され、私も二十年以上前にのめり込んだのですが、その後に刊行ペースが落ちついに空白期間が数年……。再開後もペースは上がらず「また空白期間か……」と思っていたところに届いた【最終巻 脱稿】の知らせ!

 すでに新刊本では最終話も昨年12月に刊行されていますが、文庫本マニアの私はただじっと待っている状況です。



 

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