第4話 チカラというもの
遅まきながら、やっとアニメ「とある魔術の禁書目録」を見始めた。飲酒をしながらだが。
上条当麻くん! その記憶戻るんですか!!?? っていうか、その昔幼女のシスターが潰れた焼きそばパンを食ったところで視聴辞めた自分よ、これはいわゆる「経験値」が十分に貯まらなければ耐えられない構成だったのだ。お前には早すぎたんだ。
「とある」の世界では、科学やら魔術やらなんやらがドッキングして成長した物語だったが、錬金術師の回が終わって酔った頭で考えた。自分は「チカラ」と呼ばれるものに対してどんなアプローチを取っているのか。
学力、腕力、能力。チカラと呼ばれるものにはいくつもの分類された項目が存在する。自分もかなりアンバランスながら、そのパラメータ配分を行い、なんとか社会生活ができるよう調整してきた。もちろん偏りが酷いので、楽にやってこられたわけではない。自分の中ではそう考えているし、ある程度私が何をしてきたか知っている他人ならば、やはりそう思うことだろう。お世辞で言える程度にはそうだということは実感している。本心は覗いたことがないのでわからない。
そんなことを考えては消し、考えては忘れを繰り返していると、ふと解答が出た。使わないためにチカラを得ようとしていることに。
意識が書きながらハッキリとしなくなってきた。飲み過ぎだ。
使わなければいけないチカラ以外は、役に立たない。記憶した様々な事柄は大半がただの思い出となり、何に使うともしれず、持ち主が死亡するとともに消滅する。学業における知識も、試験期間という限定的な場面を除けば、それ以降は一切使う機会が訪れない。
職業的な場面でもやはり一定期間でしか使わない。まさか死ぬまで働き続けるわけでもないだろう。そういった人間は特例的だ。
しかし、持っていなければ必要になった時に取り出すことはできない。自衛力、臨機応変な対応力、冠婚葬祭における作法等、知らなければどうすることもできない状況というものは絶対的に存在する。
たとえ仕事に使う能力であっても、それは労働をしている時間に限定される。その仕事を行う先が労働基準法を守っていると仮定すれば、やはり使っていない時間の方が長いのだ。
チカラは使う時間より、使わない時間の方が長い。使うために持っているならば、延々と使い続ければいい。最初はいくつか問題も発生するだろうが、時を待たずしてよりよいものが段取りよく作られていくことだろう。
チカラというものは、個別に考えれば、使わないために持つことが最も合理的なのだ。
ところで私は、使うための金が欲しい。
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