5
「ねぇ。これじゃない? 機械の製造元」
それはいとも簡単に見つかった。機械の側面についていた透明のファイルに、型番号や問合せ先の番号が書かれた紙が入っていた。「随分アナログだな」と思ったが、ネットワーク事故が問題視されることも多かったのでそういうものか、とマツリは納得した。
「……あー。ぽいな。電話かけてみっか」
「大丈夫かな」
「大丈夫だろ。俺の携帯は国光の管理化だから、マツリのを使っていいか?」
「ん」
マツリは頷いて、ひょいと携帯端末を取り出し、メグに渡した。スタイリッシュな赤い携帯。
「……繋がんねぇな。番号自体は、存在してるんだろうけど……土曜日だからか?」
メグが携帯に耳を押し付けても、内から響く機械音が絶え間なく鳴るばかり。
「……んー?」
メグが工場の動かない機械群に触れながら、無意識に歩きだした。
耳に届く連続した電子音で脳が劣化しそうだ。機械音とは、もう
「出ねぇのかな……」
指先が、ある機械に触れた時だった。
「?」
違和感を覚え、携帯を耳から引き離した。
「なんだ?」
何かが、おかしい。
「ねぇ」
後ろからマツリが呟く。
「ねぇ、メグ。……電話の音が、する」
「…………!!」
その言葉の意味を悟り、メグは携帯をできる限り遠く、ばっと耳から引き離した。
確かに電子音が鳴っている。ひとつは手元から。もうひとつは……。
ピッ!
『終話』をタップし、音を消す。同時にどこからか聞こえていた電話のベルも鳴りやんだ。
「どこだ」
「わかんない」
「着信音がどうして此処から聞こえるんだよ!」
「……でも。随分小さかったよ。地鳴りみたいに足元から、
「下か!」
メグがバッと身を屈めた。
「え?」
「多分、下に何かある!」
「下……?」
メグは機械の間をすり抜けるように走って、何かを見つけようと必死になっていた。
「メグ……っ」
マツリも追いかけようと走り出した。刹那。
――空気が裂けて、音が消えたような気がした。
あ、と小さな声が漏れた。それを掻き消す機械音。足元が突然消え、うわっと体が浮んで、髪が浮く。
目は閉じなかった。けれど、何も見えなかった。地も天もない。ただ白く、落ちる。そんな感覚。
「マツリ!」
突如暗闇に消えたマツリにメグは焦った。彼女が落ちたであろう穴に駆け寄る。
その瞬間だった。
後ろからやってきた人影が、メグを
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