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「マツリ!」
ガターン!
「!?」
屋上で一人佇んでいた彼女は、メグのたてた大きな音に驚いて振り向いた。
「メグ。なに、どうしたの。慌てて」
そしてメグの尋常ではない様子に不安を抱き、駆け寄る。
「いづ……いづみが!」
「え?」
「それよりお前が! 国光に狙われてる!」
「えっ?」
わけが分からない。衝撃的な言葉の連続だ。
――私が、何に、狙われているって?
「国光……って、え、いづみが、なに?」
「国光の連中がお前と勘違いしていづみを
「!」
マツリが驚いて目を丸くし、瞬時に駆けだそうとした。
「お前は動くな!」
「!」
メグはそんなマツリの手を掴んで叫ぶ。
「今は身を隠せ!」
「でも!」
「あいつらの目的はお前だぞ! 今お前が見つかると下手に……――」
はっとした。
何故マツリを狙った国光が人違いなどという莫迦みたいなミスを犯したのか。
「……メグ?」
黙りこんだメグにマツリが一歩近づく。
「マツリ……。保健医の所に行け」
「え?」
――そうだ。椎名という国光の回し者がこの学校にいるというのに、国光がマツリの情報を一つも手に入れられないわけがない。ましてや顔なんか……。
椎名がマツリの存在を隠してくれていたのは明白だ。あいつなら、ことのすべてを知っている。あいつなら、信頼できる。
「いくぞ!」
「え、えぇ?」
強引にひっぱられ、引きずられるようにしてマツリは走った。
「かっ鞄!」
「あとだ!」
「椎名!」
今度は保健室の扉を乱暴に引き開けて、飛び込んだ。
驚いて振り向いた椎名はひどく焦った顔をしていたが、メグがマツリを連れているのを見て、ほっとしたようだった。
「メグ、どうして此処に?」
「訊きたいことがある!」
マツリがそっと戸を閉めた。
「話の続きか?」
「あぁ! 教えろ! なんでマツリが国光に目ぇ付けられてるか!」
「……ああ」
椎名は口を閉ざし、マツリをチラッと見た。
「…………」
マツリは椎名の意図を察知したように、戸を再び開いて外に出る。
「マ……っ」
メグが慌てて振り向くが、マツリは
「トイレ」
ぴしゃり、と戸が閉まる。数十秒間、沈黙が続いた。
「……マツリは、お前と関わったせいで目を付けられたんじゃないよ」
椎名がメグの心を読んだかのように言った。メグの眼がぴくりと動き、寄せられていた眉が少し開く。
「マツリが国光関係者の近親である可能性が出てきたんだ」
「は……?」
「そこまでなら俺もこの間気がついた。有名な人だったから、初めて会った時、名前でピンとこなかったのが不思議だったくらいだ」
「……何の話だよ」
「ブラックカルテの
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