6
「傑作ねっ」
明るい髪を揺らしながら、フェンスにごしに空を見る。そんなメグの後頭部に声が投げかけられた。
耳に
「あの子も、例外にはならなかった」
はっきりと告げる。
「呪われてるのよ」
メグがぎゅっとフェンスを握りしめる。軋んで嫌な音がする。
「嫌われてるのよ。私達」
「…………」
「ブラックカルテに関わった人間は、みーんな壊れちゃうのよ」
「……ッ……うっせぇんだよお前ッ!」
バッと勢いよくメグが振り向き、堪えられなくなった感情を乱暴に投げ返した。
その瞬間。楓が不気味な表情で、にぃっと笑った。
「やっと、嫌ってくれた」
ボッ……!
「――――――!!」
――彼女の変異は、そんなもんじゃねぇよ。
椎名の言葉が脳内フラッシュバック。
「……なッ……!」
冗談みたいに体がこわばった。
「あははっ」
全身から爆発したように発現した白い煙幕。それが巨大な影を成す。
華奢な彼女よりひとまわり大きな、人の
「ッ……ありかよこんなの……ッ!」
メグは思わず声を漏らした。
それはメグの手から離れないアイツなんかより大きくて、自由を握り締めていた。
「私はね、メグ」
楓が口を開く。うっすらと
「あんたのこと、聞いた時から、だぁっい嫌いなの」
ねっとりとした言い方。神経を逆なでするような。
「ヌメロウーノだかなんだか知らないけど、ひとりだけあそこにいなくても良いなんて、許せない」
「……てめぇ、あそこを知って……――」
「喰ってやるんだから!」
「!」
メグの言葉を、許さない。
ドガッ……!
膨れ上がった楓の化け物が振り下ろした拳を避けた。
「なんつー怪力だよ……っ」
メグの足元のコンクリートが
「ギャガヤガガギャギャギャガッヤ……!」
耳障りでおぞましい声がビリビリと空気を揺らす。メグは顔をしかめた。
「笑ってんのか叫んでんのかも分かんねぇよ……!」
「あははははっ」
メグの頬に汗が伝う。その姿を見て楓は可笑しそうに笑った。
――同刻
「……へ?」
おぞましい声が聞こえた気がして、グラウンドから空を見上げたいづみが呟いた。
「……なに、あれ」
白く、揺れる、何かが見えた。
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