アイツの話
「な、なんだ2人とも。ゲオルグがどうしたんだ?」
「なんだじゃないですよセイル様! なんで忘れてるんですか!」
「そうです! 幾ら記憶が不確かでも、さすがにないです!」
言われて、セイルはゲオルグについて思い出す。
ゲオルグ。帝国将軍ゲオルグ。一体どんなキャラだっただろうか。
そう、確か……あれは。
「あっ」
思い出す。そうだ、ゲオルグは確か……狂帝ヴォ―ダンの命令を受けてセイル達を狙ってきた帝国軍の、その最初の戦いの指揮官だった男だ。
何度も何度もセイル達を狙ってきて、いつの間にかフェードアウトしていた、そんな役割だった。
ガチャのラインナップにも入ってはいるが、どういう経緯で仲間になったのかはウルザ以上に不明なユニットでもある。
しかも、確かガチャでの入手時の台詞は「いつでも寝首を掻いてやる。覚えておけ」だっただろうか。
「……そうか。ゲオルグ、ゲオルグか……思い出したぞ」
「どうするんです? ゲオルグが味方になるとは、とても……」
「見なかった事にするです」
「うーむ……」
カオスディスティニーでは、ゲオルグも仲間になった。
だからこそ「絶対に仲間にならない」ということはないとセイルは思うのだが……ウルザの時のようになる可能性は充分にあるだろう。
しかし、そうだとしても。そのウルザも説得に応じて仲間になったのだ。
ゲオルグだって説得に応じると考えても何もおかしくはない。
「そうだな……とりあえずは能力を見てみるか」
そう言ってゲオルグのステータスを見たセイルは、思わずうっと唸る。
帝国将軍ゲオルグ ☆☆☆★★★★
レベル10/50
物理攻撃:800
物理防御:620
魔法防御:100
【装備】
・斧
・鎧
【アビリティ】
・メガスマッシュ
確かにガチャのアップデートによりレベル10までのランダムで排出されるようになった。
しかし、その上限で出てくるとは予想していなかった。
そして、完全な前衛の星3ユニットであるが故の能力の高さも魅力だ。
セイルがレベル18の時点で物理攻撃力1000だったのを考えると、同じくレベル19になった時にはセイルの素の物理攻撃力の遥か上をいっている可能性が高い。
……まあ、セイルは主人公ユニットという性質故に全能力が平均で上がるのでその辺はある種当然ではあるのだが……それはさておき。
そしてアビリティのメガスマッシュ。これは確か攻撃力の2倍のダメージを敵に与える技……であったはずだ。
物理方面に偏ったユニットではあるが、力を貸してくれるならこれ程に頼もしいユニットは中々いない。
しかし、まあ……問題はその「力を貸してくれるか」という点ではある。
「……ふむ」
セイルはカオスゲートの画面を自分達のステータスへと遷移させる。
一番困るパターンは、ウルザの時のように暴れた場合だ。
セイルが狙われるならまだいい。しかしイリーナが狙われ「万が一」があったら悔やみきれない。
そして表示されたステータスは、かなり頼りになるものであった。
セイル
レベル22/99
物理攻撃:1200(+1400)
物理防御:900(+310)
魔法防御:900(+110)
【装備】
・ヴァルブレイド(☆☆☆☆☆★★)(レベル19/70)
・王族の鎧(☆☆☆★★★★)(レベル10/50)
【アビリティ】
・王族のカリスマ
・ヴァルスラッシュ
・協力攻撃
王国剣兵アミル ☆☆☆★★★★
レベル20/50
物理攻撃:850(+520)
物理防御:550(+300)
魔法防御:160(+120)
【装備】
・聖剣ホーリーベル(☆☆☆★★★★)(レベル10/50)
・ミスリルの盾(☆☆★★★★★)(レベル10/30)
・ミスリルの鎧(☆☆★★★★★)(レベル10/30)
王国魔法兵イリーナ ☆☆★★★★★
レベル18/30
魔法攻撃:850(+255)
物理攻撃:0(+15)
物理防御:60(+74)
魔法防御:400(+260)
【装備】
・ミスリルの杖(☆☆★★★★★)(レベル10/30)
・カオスアイ(☆☆☆★★★★)(レベル10/50)
・防毒の護り(☆☆★★★★★)(レベル1【MAX】)
【アビリティ】
・毒確率減少(小)
・開眼
【魔力属性】
・闇
「問題は……なさそうだな」
セイルとアミルでがっちり固めれば、イリーナが狙われても守りきれる。
少なくともセイルはそう判断したが……チラリとアミルとイリーナの表情を伺うと、嫌そうな顔のままだ。
「……そんなに嫌か?」
「セイル様に従うとは思えません」
「同じく、です」
「そう、か」
そこまで言われてしまうと、セイルとしても強行は出来ない。
2人との信頼関係は大事だし、セイルもほぼ確実に荒事になるだろうと予測しているからだ。
それでも、ウルザもなんだかんだで仲間になってくれたのだし……カオスディスティニーではガチャからの排出によってゲオルグも仲間になっている。
ならば、どうにかなるんじゃないかという考えもあった。
しかし……それでもやはりこの場で強行するべきかといえば、答えはノーになる。
「……でも」
「ん?」
「この世界には私達の世界の帝国も無いのですから……もしかしたら、ウルザみたいに従う可能性もある、のでしょうか?」
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