浅川 咲来 ①
現在時刻は朝6時。少女は目覚ましが鳴る前に起床。そして目覚まし時計を先に止めておく。その後バスルームに入り、自分を磨く。30分後に少女は出てきたかと思うと、すぐに髪の手入れを始める。それが終わると制服に着替え、今日の入学式の準備を始める。この少女
少女は制服に着替え終わると、今度はメイクを始めた。その間少女は黙ったままである。少女がメイクをしている間に私がこの少女の事を紹介しよう。
浅川 咲来は容姿端麗で、中学時代からモデルをしている。髪は黒のストレート、誰から見ても清楚で真面目な少女である。人当たりが良く、誰にでも優しい。しかし、中身は自意識過剰な、美しさにこだわる我儘な少女である。
そんなことを言っていると、少女はメイクが終わり寝起きの顔とは全く違う顔になっていた。メイクは人を変えるなどと言うがこれ程までとは……
現在時刻は8時15分。途中で買わなければいけないメイクの道具があるため早めに出るようだ。
「いってきます。って今日から一人暮らしだっけ。すっかり忘れてた」
と少女は言ってから家を出た。
少女の家から高校までは自転車で30分程である。本当はバスで登校したかったのだが、両親に「バスは時間を守ってくれる試しがないから、自転車で行きなさい」と言われてしまい。渋々自転車で登校する事にした。
少女が自転車を走らせて15分ほど経った頃。目の前にコンビニエンスストアが見えてきた。これは決して物語の都合ではない。偶然、偶々である。
「こんな所にコンビニなんかあったっけ?」
少女は少し怪しがったが、それよりも買わなければいけないファンデーションを買うため、コンビニエンスストアに入った。そして目当てのファンデーションを見つけ、レジに持っていった。
その途中少女の目がある商品で止まった。そこには『愛 298円』と書かれた紙が置いてあった。
「愛?私には不要なものね。ただ、面白そうだから買ってみようかしら。ふふっ」
少女はその紙も手に取り、ファンデーションと一緒にレジに持っていく。
「お願いします」
少女はとびきりの笑顔をレジの店員に向けて商品を店員に手渡した。
「あっ、えっと、ファンデーションが1点、えっ、これって……」
最初は少女に笑顔を向けられて、挙動不審だった店員だったが立て直した。が、もう1つの商品を見た時にまた彼の手は止まったのだ。
「お客様こちらの『愛』は返品・交換ができない商品ですがよろしいでしょうか」
恐る恐る店員が少女に聞くと、
「はい。大丈夫ですよ」
と、最初の笑顔のまま言い放ったのだった。私から見るに少し少女は苛立っているように見えるが、ホントに大丈夫なのだろうか。
「わかりました。それでは合計で598円になります」
少女は千円札を店員に手渡した。
「こちら402円のお返しとレシートです」
「ありがとうございますってあれ?」
少女がお釣りを貰おうとした時、異変が起きた。彼女は店員を見ていたはずだったのだが、今は壁を見ている。あぁ……店員の忠告さえ聞いていれば……
「どうかなさいましたか?お客様?」
何故か店員の声が上から聞こえてきたため、はっと上を見ると店員が居た。
「ち、小さい?」
どういう事か分からなかった少女は、自分の手を見て、驚く。彼女の手は元よりも小さくなっていた。恐る恐る自分の胸の辺りに手を伸ばすと、少女は叫んだ。
「ぺったんこじゃん!」
そうスタイル抜群のあの容姿からは想像出来ない
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