第2話 空の器

 その日はいつもより早く帰れた。

 放課後に絡んでくる奴らが今日は近づいて来なかったからだ。

 その時何故か嫌な想像が脳裏を過ぎった。

 

 放課後の教室で遠巻きにニヤついているあいつらも気になった。

 何がそんなに楽しいのか。

 それだけで恐怖を感じる。

 正しい日常が戻ってきたはずなのに心がざわつくのを止められない。


 学校終わりは家に帰りたくなくて寄り道をしていく。

 最近はお気に入りの場所も出来て浮ついていた。

 

 朝から降り続く雨がすべての熱を奪い去っていく。

 

 僕と彼女だけの秘密基地。なのに彼女がいない。

 おかしい。この場所は誰にも言ってはいないのに。

 

 そして僕は彼女を探し回った。

 僕の唯一の友達。

 心の拠り所と言ってもいい。


 思春期の少年というものは得てして越えてはいけない線を簡単に越えてくる。


 雨の降りしきる夜道にて。

 僕は彼女の変わり果てた姿を見ることになった。 

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