aruhino

リフ

第1話 現実

 僕は世界に虐げられていたんだ。

 目に見えるもの全てが敵ばっかり。

 だけどね、そんな僕でも。

 味方になってくれる子がいたんだ。

 だから今まで生きてこれた。

 でも……もう無理みたい。


「なんで……」


 街灯もない道路で。

 雨に打たれながら想う。

 膝を着き俯く先に目を凝らす。

 目の前にあるはずのものが霞んでよく見えない。

 現実を受け入れるのを拒むかのように。


 最近はよく雨が降る。

 天より舞い降りた恵みを大地は平等に享受する。


 硬いアスファルトで擦れた膝小僧の赤も。 

 手のひらから零れ落ちる少し明るい赤も。

 皆高いところから低いところへと落ちる。


「何でっ……」


 自らの鼓動だけが聞こえる少年と。

 鼓動の聞こえない横たわる彼女を残して。

 

 

 

 

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