第4話
「おんなのこ……」
キライヴとピスタがアムリの指差す先を覗くと、そこには可愛らしい幼年の少女が身を縮こませて眠っていた。髪は柔らかく波打つ金色で、耳は丸い。袖の無い衣服は白く、幼子のからだをすっぽり覆い、長い裾から小さな足がのぞいている。
「この子も、取り込まれてたのかな?」
アムリが幼子の顔を覗き込んで眺めている間に、反対側へ回り込んだキライヴは、幼子を抱き上げて座り込み、様子を窺う。
「かわいい」
アムリの頭上から覗いていたピスタがぽつりと呟く。
「かわいいね」
セレネアもそれにつづく。
「状態はなんともなさそうだ」
キライヴは幼子の額を撫で、うねる巻き毛を払ってやる。
「どうするんです? この子」
アムリはキライヴを見上げた。
「そうだな。ひとまず人里まで連れていって、引き取り手がなければ適当に話をつけるかな」
「厄介ごとは市井におまかせってね」
セレネアが右手を眼鏡に添え、片目を瞑ってキライヴに相槌を打つ。
すやすやと眠る幼子はさておき、四人は広場に散らばったネフラリムの内容物を拾い集め、種類ごとに分けて物色することにした。
ネフラリムが体内に取り込むものは大抵決まっている。
そのほとんどが道端で飲み込んだものと思われる、
また、
幼子はピスタが面倒をみることになり、セレネアとアムリは二人で鉱石の簡単な判別、キライヴは
一列に並べた戦利品を前に、腕を組みしばらく眺めていたキライヴは、その中から適当に拾い上げたナイフを目の前に寄せると、その柄にある小振りの星石を眺める。
美しく磨かれた瑠璃色の星石は残念ながらひびが入っており、価値は無いように見える。刀身も半ばで欠けており、使い物にはならない。
「やはり大したものはなさそうだな」
ナイフを置き、次に取り上げたのは、キライヴの手のひらより少し長い、筆のような形状のガジェット。
黒く光沢のある円筒の先端には八面にカットされた乳白色の鉱石が備わっており、つなぎ目が回せそうだと確認すると、キライヴはつなぎ目をまず左回しにひねり続けてみる。すると、つなぎ目はネジの役割を果たしていたようで、円筒と先端が分かれて中身を覗けるようになった。
円筒の中には星石を棒状に加工したものが一本あるだけで、他には何もない。星石を元に戻し、円筒とつなぎ目を合わせて先端を右回しにひねっていると、先端の鉱石がぼんやりと光り出し、やがて煌々と輝き始めた。
「なかなか面白いガジェットだ」
キライヴはセレネアにガジェットを振ってみせた。
「光は弱いけど、持ち運びには便利そうだね、それ」
「ああ」
キライヴは何度かひねる方向を試して、光量の調節が可能であることを認めると、つなぎ目を左にひねり、光を弱めて布鞄に放り込み、次の品を取り上げる。
キライヴの品定めを遠目で見ていたピスタは、抱きかかえる幼子に視線を移してため息をついた。
腕の中で眠る幼子の膨らんだほおが赤い果実のように色付いている。
「……かわいい」
「眺めるのは構わんが、甘噛みしたり舐め回したりするなよ」
「え」
顔を上げたピスタに、キライヴは左手で唇から突き出した舌先を指差してみせた。
ピスタはあわてて舌を引っ込めると、顔を真っ赤にして首を振る。
「か、からだが火照ってただけですよ。さっきのたたかいで」
「そうか? さっかからずっとその子の顔を見ては、にやにやしているじゃないか」
「はいはいキライヴ、手が止まってるよー。ピスタをからかわないー」
キライヴの冷やかしを打ち切るように手を打ち鳴らしたセレネアの呆れ顔に、キライヴは苦笑いで返す。
そんな二人のやりとりを眺めていたピスタは、つられて苦笑いをして、手持ち無沙汰に膝上で眠る幼子の頭を撫でた。
すると、幼子のまぶたが突然ひらき、ピスタと視線が交わる。
「あ」
つぶらで煌めく瞳に射抜かれて、ピスタはそれきり言葉を失った。
アムリはセレネアが寄せてくる鉱石の選別を進めていた。
息を吐いてまぶたを閉ざすと、まぶた裏から鉱石を見つめる。
「鉱石、やっぱり少ないね」
「そうですねー」
「キライヴの手伝いに回ろうかなあ」
セレネアの声を右手に聴き取りながら、アムリは次の鉱石を手に取り、中の構造を覗く。
「綺麗な色」
アムリはまぶたを閉ざしたまま、鉱石を陽に透かしてみた。鉱石の中で
「これが
鉱石の向きを指先で変えながら、アムリは鉱石の中で膨れていく
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