我々がファッションショーを開くならばっ!

 ティアとメアがフリコに連れていかれて数十分。俺の養女成分が足りなくなってきたところで一人の足音が聞こえてきた。


「待たせたわね!これからファッションショーが始まるわよ!!」


「おぉー!!待ってました!!」


 フリコが一人だけ戻ってきてそう言い、場を盛り上げるようなセリフを喋るので乗ってやる。後からティアとメアが着替えて出てくるようだ。ほら!早くしろ!

 あ、これから先、世界観がおかしい衣装が出てきますが気にしないでください。全部フリコが思い付いた衣装なんです。きっと被服の才とかあるんだよきっと。(暴論)


「じゃあおいでー!子猫ちゃんたちー!」


「子猫ちゃん?」


「ん……にゃあ……」


「わははー!猫なのだぁ!」


「ね……ね……」


「ね……?」


「猫耳キタぁーーーッッッ!!!」


「うふふ、鼻血を出さないようにしなさいよ?」


 ティアとメアの二人が並んで歩いてきた。毛皮で出来た服と猫耳をつけている。ティアは白猫、メアは黒猫だ。うん。キタコレ。俺の時代が来たぞ。


「可愛いぞぉー!!猫耳ー!!」


「うぉ!人間が何時にも増して叫んでる…」


「ん…にゃあ……にゃあ……?」


 ティアさまー!!こっち向いてー!!にゃあって!にゃあって!破壊力が強すぎる!?

 ダメだ!こんなの外に連れていけるわけがない!!なんてものを作るんだフリコ!こんな可愛い二人が道端にいたら変態じゃなくても襲いに来るぞ!!


「よしよし、ゴロゴロって言ってみ?」


 ティアの頭ではなく喉を撫でる。おーよしよしよし。


「ん…ごろごろ…ごろにゃあん…」


「ふぉぉ!ふぉぉぉっ!!ふぉぉぉぉぉぉ!!!ありがとうございます!!!!」


「あたしも大概だけど、変態っていうカテゴリーに入れるなら駿河ちゃんの方が上じゃないのかしら?」


「おい、これ暑いぞ。着替えさせろ。」


 まあ服が毛皮で出来ているみたいだからな。通気性は不十分だろう。仕方ない、名残惜しいが次!いってみようか!!


「まだ終わらないんだな…」


「ん…つぎ……」


 着るものはもう決まっているらしく、着替えるだけなのでフリコと二人で待っている。


「はあ…はあ……」


「叫び疲れてるじゃない…まあ可愛いのは認めるわん。ティアちゃんも凄いけど、メアちゃんもなかなかね。」


「当たり前だ。俺のメアだぞ?ティアにだって勝らずとも劣らずだ。」


「あら。次来るわよ。」



「ん……あちょー……」


「これは動きやすいな!我は気に入ったぞ!!」


「チャ・イ・ナ・ド・レ・スッッ!!キタぁぁぁー!!!」


「うぉ!…ビックリしたぁ…」


 フリコ、素が出てるぞ?じゃない!!来たぁ!チャイナドレスだぁッッ!!!幼児体型なのにセクシーさを際立てるスリットが深い背徳感を生み出している!!!

 ティアは青色!メアは赤色!二人が並んでいる姿はまさに現代に生まれ変わった『ぐり○ぐら』!……あ、これは違うな。人間じゃねえや。とりあえず神!


「あの…ティアさん?メアさん?こう少しでいいからチラっと下の方をめくってみてくれませんか?」


「息荒くなってるわよあなた…」


「こうかー?」


「ん……」


「イエス!イエス!!見えそうで見えないこの感じ!!チャイナドレスを作った人は天才か!シェイシェイ!!」


「たまんないわねこれ…恒例行事にならないかしら?」


 それいいなフリコ。たまには良いことをいうじゃないか。ほらほら!まだまだいくぞぉ!!


「ん…たいほ…する…よ…?」


「わははー!お縄につくのだー!」


「むしろ逮捕してください!!」


 次はポリス!アメリカの警察のコスプレだ!!素晴らしい!

 警察服なのに何故か開いた胸元!ホットパンツかと思われるほどに短いズボン!

 警察という誰かを取り締まる役目のはずなのに男の劣情を取り締まれないその服装はまさか俺たちから逮捕を要求するようにするためなのか!?」


「あなたよくそんなセリフがすらすらと出てくるわね…」


「あれ?途中から言葉に出してた?」


「ん…あるじが…いやらしい目に…なってる…?」


「こっち見ないでほしいのだ。」


「そんな目で見られてもご褒美にしかならないだろ!いい加減にしろ!」


「なんで我怒られたの?」


「ん…さぁ…?」


「いよいよ包み隠さなくなってきたわね駿河ちゃん…」


「アメリカンポリスとか正直初めてしっかり見るけどなんというか……素晴らしいなッ!!センキューベリーマッチ!!」


 次だ次ぃ!!


「ん…であります…」


「この服はゴワゴワして嫌なのだ…」


「軍服!大人が着るために作られたそれは子供どころか幼女が着るには余りにも危険な香りを放っている!!その様はまるで鋭いトゲが輝くバラのようだ!下手に触れてしまえば逮捕状さえ出てしまうその身体!愛おしい!!ダンケシェン!!」


「もう心のなかで叫ぶのもやめたのね…口に出てるわよ……」


「ん…よろこんでる…よかった…」


「うっわ気持ち悪い。」


 メアさん?流石にダイレクト過ぎるよ?傷付くよ?

 次いくぞ!


「おかえりなさいませ…ご主人様……」


「もうなんだか我も楽しくなってきたぞ!」


「メイド服!!原点回帰!!コスプレの王道!!メイド服だぁぁ!!」


「うふふ…これも自信作だわぁ。」


「黒いワンピースにフリルの白いエプロン姿!まさにメイド服!!!そもそもメイドとはイギリスが発祥の地と言われていて女性使用人のことをいう!!こと日本では家政婦と女中はいたものだが、メイドというのはそこではない!服装に重きを置いてるんだと提言したい!このフリフリの真っ白なメイド服に溢れる清潔感は夜のお勤めの際に行為をさらに興奮させる材料になることは否定しようのない事実だということを!!」


「おい、人間がなんか語り出してるぞ。」


「ん…あれは…ちょっと…あぶない……」


「流石のティアちゃんも心配になってきてるわよ…」


「なにをいっているんだ!!例えこの身が今ここで朽ち果てようとも!俺はこのコスプレ大会を見続ける!!いやらしい目で!!チアーズ!!」


「鼻血を出さないでっていったけど……これは無理ね……」


「あ…あるじ…鼻血が…」


「おい人間!なんか出てるぞ!」


 幸せが溢れてきやがる…ダメだ……意識が遠のいて……


「あるじ…がんばれ…がんばれ……」


「復活ッッ!!!まだ倒れるわけにはいかない!!俺たちの冒険はこれからだっ!!」


 ティアに応援されたら死んでなんかいられるか!俺はまだまだやりたいことがたくさんあるんだ!!主にコスプレ観賞とか!!



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