第34話俺が契約魔法を使ったならばっ!

この小説はご都合主義だということを、お分かりいただけたい。あ、本編どうぞー。



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「メアを俺の奴隷にすればいいんじゃないか!?そうすれば俺が人間を攻撃するなって命令すればメアは人を傷付けられなくなるはずだ!」


我ながらナイスな発想だ。流石だな。自分が恐ろしくなってきたぜ…


「駿河様…残念ながらそれはできません…」


「は?なんでだよ?それじゃダメなのか?」


「いえ、奴隷に出来るなら死刑にはならないと思いますが……魔属を奴隷にしたという事例は今までに一度もないんです。」


「……どういうことだ?」


「誰かを奴隷にするには契約魔法という魔法を使わなければなりません。その理屈は奴隷にする相手の魔力を支配する魔法なのです。もちろん他に細かい条件はありますが、魔族は魔力が高過ぎて支配を出来るほどの人間がいないのです。」


「……細かい条件っていうのはなんだ?」


「えーとですね大きく分けて、犯罪を犯していて罪の意識があるものじゃなければいけない、か非常に衰弱している状態のとき、この二つのいずれかを満たした上で意識がある状態でしか発動出来ません。。」


「それだけか?」


「人間に対してさえほぼ出来ないので、魔族にするなんて無理だと言われていますが、奴隷にする相手より数倍の魔力で無理やり支配をすることが出来ます。もちろん危険もありますが。」


なるほど…じゃあ俺に出来ることは一つしかないな。


「よし!じゃあやってみるか!」


「なにをですか?」


「もちろん、奴隷にするんだよ、メアを。」


「……ん…がんばって…」


「え?駿河様は契約魔法が?」


「いや?使えないよ?」


「使えないならどうやって…?」


「今から使えるようにするさ。でもまあここでやるには失敗したら怖いから出ていくよ。ありがとうな。色々情報をくれて。」


ティアを連れて部屋から出ていこうとする。来てよかった。お陰で解決策が見つかったしな。俺に契約魔法が使えるかは分からんが…まあなんとかなるだろ?


「え?お待ちください!いったいどういう…」


「まあまあ、今度は三人で来るからその時に話すよ。俺と、ティアと、メアでな。」





城から出たあと、若干暗くなってきた空を見上げながら王都を出る。最初にあったときの場所、つまりコボリの森にいってみることにした。


「う……うぅ…?」


「おっと、そろそろ起きるかな?」


「ん…急ぐ。」


担いでいる幼女が起きそうだ。早くいって奴隷にしなければっ!


「ティア、走っていくぞ?ダッシュだ!!」


「ん!」


二人でコボリの森まで走っていく。風を切り裂いて走っていると、身体に当たる風が心地よく感じる。なんだかうまくいきそうな予感がするぜ!


しばらく走り、ドラゴンと戦っていた場所にたどり着いた。メアを静かに下ろし、近くの切り株に走って疲れた体を休ませる。ティアも俺と同様、切り株に座る。


「ふぅー、疲れたな。」


「ん…疲れた。」


「もう空もしっかり暗くなってきたし、さっさと終わらせて帰ろうか。」


王都を出るときはうっすらな暗さだったはずなのに、いつの間にか周りしか見えない暗さになっている。


「じゃあまあ、試してみますか。」


俺は立ち上がり、メアに近付く。


「おーい、メアさーん。そろそろ起きて?」


「…う?……うーん……パパ?」


「残念だが俺はメアちゃんのパパじゃあないなー。ほんと残念だが。」


目を擦りながら、寝ぼけ眼でこちらをぼーっと見つめる。まだ状況が掴めてないようだ。


「んー…ん?……うわ!お前は人間!」


「おう、そうだぞ。人間だ。よろしくどーも。」


「あれ、我はいまの今までなにを…は!そうだぞ!あのときお前にやられたんだ!許せないぞ!」


メアは地団駄を踏みながら俺を見つめてくる。


「おーはいはい。わかったわかった。まあ落ち着いて話そうぜ」


「落ち着いてなんか話せるか!!食らえ!サンダーボルト!」


地団駄を踏みながら、今度は手を大きく振りかぶってこちらに魔法を唱えてくる。


「ははは、ういやつめ。」


慌てて撃ったからか俺の後方のほうに小さい雷のようなものか落ち、俺には全く当たらなかった。


「まあ落ちつけって!」


メアの後ろに素早くまわり、膝カックンをして体制を崩させる。そのまま手を脇の間から滑り込ませ、ホールド状態にする。もちろん、日本でやればコトである。


「はーなーせー!」


「よし!ティア!くすぐれ!」


「ん……わかった。」


「なんだお前!銀色の髪…?不思議なやつだなうわははははっ!?」


メアが喋っている途中にくすぐりだした。


「ま、まっへ!ダメだひゃら!勘弁!勘弁してぇ!」


「一気に形勢逆転だな?メア?」


「ずるいぞ!うひゃ!人間!うひゃびゃひゃ!?」


「おいおい、これぐらいじゃ終わらねえぞ?ほれほれほれほれ!」


「うわぁ!!ごめんなさいごめんなさい!許してぇ!我が悪かったからぁ!ごめんなさい!」



幼女を相手に、二人がかりでくすぐり満面の笑みで幼女を抱き上げてる人間がそこにはいた。



「ぜぇ……ぜぇ……けっきょく……我を……どうするつもりなのだ…?」


あれから5分くらい続けた結果、あちらこちらに魔法を撃ち始めたので勘弁してやった。メアの顔は赤くなっていて、本当に苦しかったことが伺える。


「あー…なんだっけ?」


「ん…?おぼえてない……」


「お前らなんの理由もなく我をいじめたのか!?」


「じょーだんだよジョーダン。マイケル・ジョーダンだ。」


「は?」


「ん…?」


「いやごめん通じないよな。通じたところで同じ反応だった気がする。」


俺のウィットに富んだ一発ギャグにくすりともしないなんて…やるなこいつら。


「まあほんとの目的はお前を奴隷にすることなんだよ。」


「我を?はは!出きるわけないだろ!人間なんかの魔力で。」


「じゃあ試してみてもいいか?」


「構わんぞ!その代わり出来なかったら大人しく我を逃がせよ!」


もうすでに逃げられないことをわかっているメアちゃん。よしよし、いいこだね。


「さわんな!!」


「これが世に言うツンデレというやつか…」


「ツンデレが何かは知らんがそれだけは違うっ!」


「といっても俺は契約魔法なんか出来ないんだが…とりあえず見よう見まねかな。」


「急に本題に戻るんだな…」


俺はメアの目の前に立ち、メアと俺が見えない鎖のような繋がれるイメージと共に、その鎖を俺が支配するイメージをした。わかりにくい方は飼い犬と散歩する主の方をイメージしてくれ。俺が考えてるのはそんな感じだ。


「こんなんで出きるわけ…」


メアが笑おうとした瞬間、地面から赤い光みたいなものが溢れだしどんどんひとつに収束していった。

結果、俺とメアの間に赤く、透明な鎖のようなものが出来上がり俺とメアを静かに結んでいた。


「あれ?これできた感じ?」


「……そんなわけないだろう人間、仮にも我はカストール家の」


「メア。俺の膝の上においで。」


「そんなわけがないだろ!!」


とか言いつつ俺の膝の上に座り込んでいるメアちゃん。


「おぉ、こりゃ決まりだな。」


「え!うそ!我…奴隷になったのか!?」


「ははは、これからよろしく頼むぞ。」


「ふ、ふぇ……」


「ふぇ?」


「ふぇーーんっ!!びぇーーーん!!!ぴぇーーーーんっっ!」


メアがおもいっきり泣きはじめた。


「え!?まって!ごめんって!でもこうするしか……」


「……なーかしたなーかした……せーんせーに……いってやろ……」


「ティアさん!?」



これからメアが泣き止むまでひたすらに頭を撫で続けた。ティアも含めて。


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