第6話俺がガルダマーナに着いたならばっ!
色々あってキャランをなんとかおさめて、やっとガルダマーナの門まできた。
「では話をしてくるので姫さまはこちらへ。スルガ殿は門番に話しを通すためついてきてくれ。」
「はいはい。」
おぉー。馬車から出るとさらに分かるがとてつもなく大きいな、城下町っぽいけど。
端から端まで走ったら何分かかるんだろうか。いや何十分か。
「キャランさんですね、姫様の送り迎え、お疲れ様です。」
鉄の鎧を装備して仁王立ちしている、いかにも門番ですといった人が声をかけてきた。
「ああ、しかしどうやら内通者がいたのか、道中に盗賊に襲われたのだ。」
「そんな!姫さまは!?」
「問題ない。ここにおられるタカナシスルガ殿のおかげで助かったのだ。」
そんな風に紹介されるとなんだか照れるのだが。紹介されたので前に出て頭を下げる。
「どうも、高梨駿河です。」
「この子供がですか?まだ10代に見えますが…キャランさんが言われるのでしたらそうなのですね。よろしくお願いします。スルガ殿。」
やっぱり子供だとなめられるのな。仕方がないことだが。
それにしてもキャランは信頼が暑いのだろうか、キャランが言うだけで信じてもらえたらしい。
「で、そろそろガルダマーナに入りたいのだがよいかね?」
「はい!構いません。が、スルガ殿にはなにか身分が証明出来るものとかがあればいいのですが。」
やっぱりいるのか……しかし証明といったって俺に渡せるものなんてないからな。
「あの、すいません。いままでずっと村を出て旅をしていたので証明できるものは……」
「まて、スルガ殿は私たちを助けてくれたのだ。十分に信用が出来るはずだ。それとも君は私の観察眼を疑うのか?」
キャラン、助けてくれるのは嬉しいけど、あんまり無理してフォローに回らなくてもいいんだぞ。ありがたいが。
「い、いえ!ただギルド証とかがあれば出していただければ。」
「スルガ殿、旅をしていたのならギルド証とかあるだろうか?」
ギルド証っていうと、あれか?冒険者的な?うぉぉ!俄然やる気が出てくるじゃないか!でも持ってないな。素直に言うしかない。
「いえ、持っておりません。申し訳ない。」
「そうですか。なら通すわけには…私も出来るなら通したいのですが…」
「ここで作れないのでしょうか?」
「この場で作ることは中々…」
「お待ち下さい!」
後ろからサラ姫様が馬車から降りてきて、こっちへ走ってきた。ハイヒールみたいなの履いてるけどコケないのか?
「駿河様!こちらをお持ちください。」
「サラ姫さま?これは…」
サラ姫から渡されたのは金色に輝いていて、城のような模様があるブローチを渡された。これ売ったりしたらいくらになるんだろう?純金製だよな?
「姫さま!それは!」
「はい、王族のブローチをです。これがあれば問題ありませんよね?」
「構いませんが……いえ、どうぞお通りください!」
「え、え?このブローチは?いいの?もらっても?」
なんかすごい良いものをもらったっぽい。これあれだな、絶対売れないな。
「姫さま!それはむやみに渡していいものでは……」
「よいのです、それともキャランは駿河様が信用できませんか?」
「い、いえ…」
なんだかサラ姫がすごい強く見える…惚れそう。キュン!
「では、お通りください。」
馬車の中に戻り門の中に入ると、活気溢れる町が広がっていた。地面に絨毯を敷いて、商品を売ってたりリンゴのようなものを売っているような人たちが横にずらーっと並んでる。あ、猫耳娘がいる!
「駿河様、あまり乗り出すと危ないですよ。」
「あぁ、悪い。サラ姫様。」
ついつい猫耳に……いやリンゴのようなものが美味しそうで乗り出してしまった。危ない危ない。
「駿河様、サラ姫様なんて呼び方はやめてくださいな。よければ呼び捨てで構いません。」
「えー…えっと…じゃあサラ様?」
「サラ、で構いません。」
「え、でも。」
「サラ、で構いません。」
ちょ、怖い!サラさん怖いよ!顔がなんか必死だよ!被せ気味に喋ってるよ!
「じゃ、じゃあ、サラ?」
「はい。」
うわ恥ずかし。なんかサラさんと話してると調子狂うな……
「サラでお呼びくださいな。」
「心を読むなよ!?なんでわかったの!?」
「うふふっ」
ここで笑うと可愛さより怖いが勝るぞ!?
「そういえばこれからどうするんだ?」
門の方でいってたギルド証とか冒険者になればとれるのかな?だったら行きたいんだが。異世界転移としては伝統行事と言わずにはいられないイベントだ。
「いえ、このままお城に来てもらって、そこで父様から褒美が渡されると思います。なので城までついてきてください。」
「え!俺は礼なんていらないんだが…」
「ダメですよ!まだなにもお礼していませんし…」
いや膝枕してもらったじゃん。それじゃお礼にならんのか。
「膝枕は?」
「ん、それは別です…」
「別なの?」
「別です。」
別なのか……よくわからんが別ならまた今度も頼んでみるか……てゆうか、こう勘違いしそうになることを言わないでほしい。ただてさえ美しいのだから惚れてまうやろ。
「ま、まあ面倒ごとにならないんだったらいいけど。」
正直城に行って、王様からいろんなお願いされたら断れないし、そこから利用されたら困る。いや子供だからないか?そもそも信じてくれるのか?俺が盗賊を倒しただなんて。名も知れた盗賊だったらしいし…
「面倒ごとは分かりませんが…もしかすると兄様に会っちゃうともしかすると…いえ……分かりませんが。」
なに?シスコンの兄でもいるのか?まさかな!あははー!
「あー、まあすぐ終わるならいいけど。」
「ふふっ、駿河様は本当にフランクですね。」
異世界にフランクなんて言葉があるのか。意外だ。この世界の世界観がつかめる気がしないな。
「フランク?」
「えぇ、普段回りの人たちは私に気を使ったりなにか企んでいらっしゃる方ばかりで、珍しく……」
そんなもんだろうか?というか気を使えてなかったか俺…まあ別段気を使ったつもりはないから仕方ないかもだけど…。
「気を使えてなかったか俺は……」
「あ、そんなつもりは!!申し訳ありません!!」
急に立ち上がって頭を下げる。わざわざ立ち上がらんでも。
「いやいや、冗談だから。」
俺は笑いながら座らせる。
「冗談ですか、よかったです。」
「天然なのか?」
フランクが通じるなら天然も通じるだろ。
「天然……ですか?」
「通じねーのかよぉ!」
「も、申し訳ありません…」
「ここで謝るのもなんか天然な気がするが…」
サラは本当に申し訳なさそうにしている、本当にこの子はピュアなのな。可愛すぎるぜ。
「つきましたぞ、姫さま、スルガ殿」
「おぉー、やっとついたか。」
「降りましょう、駿河様」
「おう。おぉー……でけえな。」
あの広い城下町にふさわしいくらいでっかいお城がたってる。すごいなこれ…何円かかるんだ?あ、ここじゃお金の感覚も違うのかもしれんけど。
「これから謁見の間にいくので、ついてきてくれ。スルガ殿」
「私は行かなきゃならないところがあるので。このあと私の部屋に来て下さいね、駿河様」
「おー、謁見が終わったらいくよ。」
「はい、お待ちしております。」
まあ可愛らしい笑顔だこと。これだと婚約者なんてものはいくらでもいるんだろうなぁ…。
「さて、スルガ殿。こちらへどうぞ。半分まで歩くと足下に金の刺繍があるのでそこで止まってくだされ。片ひざをついて、頭を下げればあとは王が指示をしてくださる。」
おぉやっぱそんな感じなのな。威厳のある王様なんだろうが……なかなか怖いな。
どんな人なんだろうなぁ……まあサラの親なんだしきっと優しい人だろう。フラグじゃねえよ?
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