第4話俺が盗賊と会ったならばっ!
目が覚めると、なんだか整備されてるようなされてないような、道の真ん中にいた。
「んー、ここは……どこかわかんねーよなぁ……」
さっきの、クロエのことを思い出す。優しいいいやつだった。あいつのことだからきっとこのまま道なりに進めばいいだろう。そんなに話してないが多分いいやつだ。あんな感じの妹がいたらいいなと思う。
「次と~その次と~その次とぉ線を引ーきフフフフーン♪」
歩きながら歌っているとふと気になったので自分のスキルを見直してみることにした。
とりあえず、限界魔法とか暗黒魔法とかはなんか下手したらやばそうだし、とりあえず索敵てのを使ってみるか。
「索敵」
呟くと目の前にスクリーンが現れ、それに付近のマップのようなものが表示された。
「これはいいな、便利だ。」
いろいろ見てるうちに設定が出来ることがわかった。
とりあえず、敵対してるやつか、危ないやつがいたら赤色、モンスターを青色、敵対をしていないやつを白色、知り合いを緑色の印が表示されるように決めておこう。距離は半径200メートルくらいでいいかな。
「うん、こんな感じかな。」
するとスクリーンの右端に赤色の印が出てくる。
「早速かよ。いや、これは俺狙いじゃねーな。印の動きかたがなにかを囲んでいるような動きだ。これは、もしかしたらもしかするかもしれん!!行ってみるか!」
異世界転移した俺は謎のテンションで独り言を呟きつつ走り出した。
まさかこの時あんなことになるなんて俺は思ってなかった……
「ぐっ……こいつら、ここらで有名な盗賊のガッシュ盗賊団だな!まさかこちらの情報が伝わっていたなんて……内部に誰か内通者がいたな!!くそ!」
重そうな鎧をつけた男は周りの盗賊たちを見てそう叫ぶ。
「ふはは!残念だったな近衛兵!もうここは俺たちのテリトリーだぜ!なぁ!ガッシュの旦那!」
「勝ったな、そのでっかい馬車のなかにいるお姫様を渡してもらおうか。」
「くそ!姫様!お逃げください!」
「逃がすと思うか?おいお前ら!囲め!誰も逃がすなよ!逃がしたら首はないと思え!」
「「「おうッ!!」」」
「うぉー……どっかで見たことあるような光景だな…これ。しかもあれ……うぅ、マジか本物かよ。グロ耐性はあるつもりだが、きついな。」
索敵のマーカーを見ながら近づくと馬車を守るように並び、息をあげながら叫んでいるおっさん兵士と数人の血だらけの兵士が数人に囲まれていた。
近くには数人の死体があり、中には痛々しいほどに体が傷付いているものもいる。異世界に来たんだ、覚悟はしてたが堪えるものがある。
「いや、いまは考えるな。あとで埋葬してやる。それより、これは助けたほうがいいよな?」
さっきあのおっさん兵士がガッシュ盗賊団とかいってたし…やればいいよな?これでなんかあったら…逃げよう。うん。
「うぉぉぉ!やるぞぉこらぁ!」
「ん?なんだ?おまうぶぉわぁぁッッ!!?」
一番近くにいた盗賊のみぞおちにおもいっきりパンチを叩き込んだ。そのまま他に近くにいたやつに近づき、懐にあっという間に潜り込んで顎を打ち抜いた。これで二人。
「おぉ、なんだこれ俺じゃないみたいだ。喧嘩は慣れてるけど、明らかにキレが増してる。これはやれるかもしれん」
「おい、お前誰だ。なんでガキがこんなところにいる。」
さっきほかのやつらに命令していたおっさんが近づてきていた。
「う、うるせぇ、お前がボスか?盗賊なんだろ?これは多分転移モノによくあるイベントなんだよ!」
「い…イベント?なにを言っているんだ。このガキは。早く失せろ。ガキを殺す趣味はねぇ。」
転移したらよくある盗賊討伐イベント。少し怖いけどこれをやらなきゃな!まずは有名になるための第一歩だっ!
「なんだよ…?怖いのか?俺にやられるのが。」
「怖い?はっ!たかがガキが一人で何が出来るんだよ!」
そういいながら殴ってこようとする。大きく振りかぶって殴りにこようとする。うわーやばい。痛そうだなぁ。てゆうかその反対の手にもってる斤みたいなのは使わないの?もしかして子どもだから気を使った?なんだいい人じゃないか……
てゆうか遅くね?今すごい考え事してたのにまだ俺の顔に届いてないぞ?
「あのー…なにをしてるんでしょう?」
ひょいっとよける。なんだこれ、ほんとに気を使ってくれたのか?さすがにそこまで優しい人が盗賊なんかやらない気がするが…
「妙にすばしっこいじゃねえか!でもなぁ!大人をなめすぎなんだよ!殺す!」
「うわ怖い、え?なに?高血圧?」
殴りかかってきた拳を受け流してそのまま一本背負いをしてみる。この人本気っぽいし……これあれか、才能スキルか。なるほどヤバイなこれ。
「うぉわ!な、なんだ!?」
「よいしょッ!」
バキッと嫌な音がして、ガッシュは倒れた。ふぅ、投げ方が上手かったのか重さを全然感じなかった。武術の才…いいね!
「おら!ほかのやつはどうした!かかってこいや!え?」
調子に乗って挑発するように回りをみると他の盗賊は誰もいなかった。どうやら逃げたらしい。あとは大きな馬車と血まみれの兵士さんみたいなのが何人か立ってるぐらいだ。
「き、きみはいったい……いや、助けてくれたんだ、失礼なことは言えないな。まずは、ありがとう。」
おっさんはわざわざ姿勢を正して礼をいう。佇まいからしてさっきの盗賊とは違うようだ。
「いえ、別にたいしたことではないので。ところでこれはいったい」
「あぁ、今は姫様をこの先のガルダマーナに送る途中だったのだが、内通者がいたのか道がばれていて、そこを襲われたのだ。」
「なるほどです。ならばやはり、あのものたちは悪いやつらだったのですね、よかったです。」
危ない危ない。話の内容からどうやら捕まりはしなさそうだ。盗賊ならいいのかな?まあ殺してもないから大丈夫だと思うが。
「あぁ、しかし、君はすごいな。見たところまだ10代に見えるが……動きは我が軍の兵士を軽々と越えているぞ。」
「あはは、まあ色々ありまして。そうだ、僕の名前は駿河というんですが、もしよろしければそのガルダマーナ?に連れていってほしいのですが。」
さすがに助けたんだからこれくらいのことは頼んでもいいだろう。ずる賢い?はは、計算高いと言ってくれ。これも処世術さ。
え?さっきの『まさかこの時あんなことになるなんて俺は思ってなかった……』はなんだったのかって?えへへ、武術の才が強すぎてフラグ折っちゃった。
「そうか、スルガ殿だな、私はキャランという、馬車のなかにおられるサラ姫様の近衛兵の副隊長を勤めている。実力は君のほうが数倍強いがな……はは」
自嘲的な笑みを浮かべる。自傷ネタはある程度仲良くないと受けないぞキャランさん…
「そんなことないですよ、偶然です。」
「まさか、偶然で勝つなんてありえない、この辺りでは有名な盗賊だぞ。」
「そうなんですか。」
流石武術の才!ハーレムチートもののチートは達成だね!まあ俺としては小学生どころか幼稚園児をいじめてる感覚でちょと心苦しかったんだが…
「それより送ってほしいんだったか。ガルダマーナはここからすぐだ、乗ってくれ。」
「あ、お願いします。」
なんとか町に行けるようだ。よかったよかった。そういえば、馬車のなかにサラ姫?だったかがいるらしいな。ハーレム…一人目かな!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます