第39話 四文字熟語こじらせたら その二

今日も放課後の教室の一角で孝之の机を囲み、例のノートを開いて何やら書き込んでいた。その様子を慎吾は隣の椅子を拝借して見ていた。

「よし、早速いくぞ。鋭いツッコミ頼むぞ」

意気揚々と孝之は慎吾に向かっていった。

「それじゃ。見せてもらおーじゃないの」

そういって慎吾はノートに目を通した。


『意志薄弱』

『医師虚弱』


「おい、医師が虚弱じゃ、患者診てる場合じゃねーだろ。その医師、他の医者に診てもらえよ」

慎吾が突っ込むと孝之はこう返した。

「医者の不養生という言葉もあるくらいだからな」


『一切合切』

『一斉合体』


「なんだよ、一斉合体って。何が一斉に合体するんだ」

慎吾のツッコミに孝之はこう答えた。

「みんな一斉に合体するんだよ。そうりゃ見ものだぞ」

「だから、なんの合体だよ」

「…………」

孝之は沈黙した。

「いや、答えろよ」

「これからは一切合切、慎吾隊長の命令なしでは合体を行わないことを条例に書き込みます」

すると慎吾はこう答えた。

「緊急時には各々の判断で合体するように」


『呉越同舟』

『嗚咽応酬』


「嗚咽の応酬ってなんだよ」

「泣ける映画を見て一人の人が嗚咽を漏らし始めたら、皆が釣られて嗚咽を漏らし始めたって事だな」

「逆にどんな映画なのか観て見たいわ!!」

そう、慎吾が突っ込むと、孝之は「俺も観たい」とポツリと言葉を返した。

 

「よし、スマホにはちゃんと録音しといたぞ。また頼むな」

そういって孝之はニッコリ笑った。

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