第31話弱り目に祟り目
弱り目に祟り目とはよく言ったものである。
俺は仕事を終え、風呂に入ったあと軽く夕食をすませた。
そして、あたりめを酒の肴にしてテレビを観ながらくつろいでいた。
労働のあとの祝福の時間帯である。
その日は、日頃のストレスもあってか、酒はいつも以上に早いペースで進んだ。そしてあたりめのエキスを吸い尽くすように何度も咀嚼して喉へ運んぶ。
「あたりめうめーな。ったく、あたりめーよ」
くだらない独り言も飛び出し、いよいよ酔いも回ってきた。と、そのときであった。
あたりめを勢いよく引きちぎったら、勢い余って壁に後頭部をぶつけ、前歯が抜けてしまった。
「いてー!!」
俺は後頭部を撫でながら、抜けたと思われる前歯のあたりを舌でチロチロと確認をした。そして目の前に落ちている前歯を見てしばらくその場に固まってしまった。
そして酔いが急速に冷めるなか、思いついた言葉が一人でに発せられていた。
「これがほんとの、弱り目にあたりめか。とほほほ……」
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