使節団
嵐のような攻撃が終わると、召喚国境界線の向こう側から人影がぞろぞろと降りてくるのが見えた。
きっと召喚国の軍隊だろう。
接触するなら今しかない。
「行くぞ!」
ハビルはそういうと、走り出した。
人影に近づくと、なにか棒のような物を向けられ取り囲まれた。
先には剣が付いている。
武器であるのは間違いない。
どうにか身振り手振りで敵意がないことを表す。
相手の兵隊達はなにか怒鳴っているが言葉がわからない。
「おい、指輪を出せ」
部下が急いで指輪を渡してくる。
大きな石のついた指輪だ。
ハビルが指輪をはめる。
その瞬間、兵士の怒鳴り声が聞こえた。
「おい貴様!何者か!」
指輪の機能は正常のようだ。
「私達はカリス王国の使節団です。敵ではありません」
私が言葉を話せることが分かると、兵士達は驚いた顔をした。
「貴様日本語が話せるのか」
ハビルが頷く。
「はい、翻訳魔法で。この言語は、日本語というんですね」
私がそう言うと、兵士達が怪訝な顔をした。
「なんだこいつ等は。おかしな奴だなぁ」
ハビルにはなにがおかしいのかわからない。
「とにかく、私達はカリス王国の使節団です。どうか、あなたの国の王様と御会いしたいのですが」
その言葉を言った瞬間、兵士達の顔つきが変わる。
「貴様、畏れ多くも天皇陛下に御会いしたいだと!」
ハビルは迫力に押されてたじろいだ。
「と、とにかく、貴国の代表と御会いしたいのです!お話があります!」
すると兵士達はなにか小声で話し合い出した。
こうして間近で観察すると、彼らは全く見たこともない服装で身を固めている。
長い木の棒に剣のついた武器で武装し、奇妙な形の鉄兜を被っていた。
また不思議なのは、頭は隠すくせに胸や胴体には一切防具の類を付けていないことである。
兵士は皆髭面で背が低く、人間で間違いはないようだった。
しかし、人間であったらさっきの攻撃はなんだったのだろうか・・・
そんなことを考えていると、兵士の隊長らしいのが口を開いた。
「よし、ともかくついて来い」
ハビルはそれに従い、境界線を越えた。
辺りにはカース兵達の手足や臓物が撒き散らされ、想像を絶するような凄惨な光景が広がっていた。
魔法と兵隊 異世界進軍記 @zirconia
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