反応

 「陛下!無事、成功でございます」


アルザスは、声高らかにそう言った。


「・・・そうか」


国王、グバートは返事をすると、玉座に深々と座った。


「これで一安心・・・というわけか」


「そのようです。ともかく、カース帝国の侵攻は停止しています」


国王は頷いた。


「して、召喚した国はどのようなものかね。見込みはありそうかね」


アルザスは曖昧な顔をした。


「召喚した国家は、我が国の海岸線・・・失礼、我が国だった海岸線から繋がるように北方方面へ出現しています。目下探索中ですが、大きさは不明です。ただ、領地そのものはかなり大きいかと・・・しかしその一方で、魔力は全く感知できません。或は、文明国ではない、という可能性も・・・」


「・・・種族は?」


アルザスは首を振る。


「それもまだ・・・魔法が検知されないあたり、ヒューマンの可能性もあります」


「ヒューマンか・・・」


国王の顔が暗くなる。


魔法の使えないヒューマンでは到底カース帝国に勝てる見込みはないからだ。


「しかし、高速で飛行する見慣れない竜を目撃したとの情報もあります」


国王は怪訝そうな表情で尋ねた。


「竜?」


「はい。異様な音を立てて、北から南へと飛び去って行ったそうです。方向からしても、カースのものではないでしょう」


国王が唸る。


「兎にも角にも、我が国はこの現状です。あまり刺激したくありませんから、穏便に使節団を送ってみてはいかがでしょうか。向こうの状況もわかるはずです」


アルザスがそういうと、国王はアルザスの目をじっと見つめた。


「うむ・・・まずはそれが先決だろう。人選はお前に任せるから、うまくやれる者を送ってくれ」


アルザスは頷いた。


「承知しました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る