flow
初めて彼の唇の裏に刻まれたタトゥーを見たとき、某五人組ロックバンドの名前かと思った。「ファンなの?」と聞くと彼は「全然」と笑った。
足首にも三本ラインが入っていて、シーツの間からのぞくそれをなぞっては「くすぐったい」とよく怒られた。
ある日帰宅すると、彼の荷物が消えていた。
スマホには「ここに行きます」とマップのURLだけが送られてきていた。
地名を検索して、結果を上から順に開いていった。海外生活に慣れていない人も住みやすい街、と書かれた知らない誰かのブログを見つけて、なぜかほっとした。
途方に暮れたまま、送られてきたマップを眺めた。三本の川が流れるその街は、私にとって現実味のない、遥か遠くの街だった。
300字SS集 ささなみ @kochimichiko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。300字SS集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます