帰り道

 帰り道、私はいつもあなたに嫉妬している。

 彼の頭を撫でるあなた。寄り添う彼を優しく見守るあなた。

 いいなぁ。

 帰り道は毎日彼のことを見ていた。私も彼の隣に座って、頭を撫でたい。


 ある日の帰り、あなたに声をかけられた。

「いつも見てるでしょ?知ってるからね」

 そう言われて、顔から火が出そうになる。彼は黙って私を見ている。

「撫でてみなよ、大丈夫だよ」

 恐るおそる触れると彼はビクッと背中を震わせたが、すぐ気持ちよさそうに目を閉じた。

「にゃー」

 あなたがにっこりと微笑む。

「猫、好きなんでしょ?もっと喋りたいな」声が弾んでいる。「一緒に帰ろ」

 あなたの丸く大きな猫目と、きゅっと口角の上がった小さな口は、少し彼に似ている。

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