たづき知らずも

 見渡す限り白藍しらあいの空と草原が続いている。

 側には二つの扉がある。壁も何もなく扉だけが存在しているが、もう見飽きて驚きもない。迷わず右側の扉を開けた。


 玩具屋の前に出た。青鈍あおにびの空の下で陰ったテディベアが、電飾に照らされてちらちらと色を変える。


 そしてまた、扉が二つ。


 __また駄目だった。

 祈るように目を閉じる。


 ある日突然、世界は細切れになった。世界と世界は二枚の扉で繋がり、迷い込んだ私は元の世界に戻れなくなった。世界は一つひとつ空の色が違った。


 ここがどこだか私には分からない。

一つだけはっきりしているのは、この空はあなたには繋がっていないということ。


 私はまた、目の前の扉に手をかける。

 あなたに繋がる空を探して。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る