case.5 中性的

「なあ、帰りにバッセン寄って行かね?」

「いいよ。ヒット性少ない方が罰でジュース奢りな」

 俺の誘いにいつものように乗ってくる。いつでもそうだった。

 体を動かして少し汗ばんだシャツに下着が透ける。

「なに? お前、こんなので顔赤くすんの?」

 目の前でスカートなのにベンチにあぐらを組んだまま笑う。

「じゃあ、もう少しやってくる」

 君はそう言い立ち上がろうとした時、スカートの裾を膝で踏んだのか体勢を崩した。咄嗟に支えた手に胸の柔らかな感触が伝わり、慌てて手を離す。少しだけ潤んだ目で謝る俺の方を見上げる。

「じゃあ、ホームラン打ったら許してやるよ」

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